#三宅勇介
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐往復書簡 第七回
四元さん、こんにちは。
また投げたボールが返ってきちゃいました、「頭で書くタイプの詩人」問題、飲みながら朝まで語れそうですね(笑)。
「頭で書く」詩は読んでいても不気味さに欠けて驚かされない、という四元さんの言葉で思い出したのが、ある作家の言葉だったと思いますが、(すみません、うろ覚えですが)「新しい文学があるのではない、新しい生理があるのである」
頭で考えていても、全く違う「生理体」には勝
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて: 三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第六回
三宅さん、
「頭で書くタイプの詩人」問題、炸裂しましたね。
なんだか三宅さんに僕の詩の弁論陳述をやってもらったみたいな。
でも正直いうと、「頭で書く」のはやっぱりいけない、というか頭で書いた詩は書いていても面白くないし、読んでも不気味さに欠けて驚かされない、という思いはあるんです。三宅さんの言葉を借りると、システムの外に出ていけない。
「機智」や「奇想」がそのまま「頭で書く」ことに繋がって
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第五回
四元さん、
お返事ありがとうございます。
今回も色々考えさせられます。まずは、「頭で書くタイプ」の詩人について(笑)。四元さんの仰ったように、定型詩においてはそれは褒め言葉ではないですよね。俳句よりも短歌の方が嫌われるかもしれません。よく歌会などの批評で、歌のダメだしする時に、「これは観念的だ」とか、「頭で作っている」という決め台詞があります。そういう言葉が出るたびに、「また出たよ」と思ってし
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第四回
三宅さん、
イスタンブールのDAMで行われたハルフェティ連詩の発表会、当日別の詩祭とぶつかったとかで参加者は少なかったけれど、密度は高く、深く掘り下げた意見が交わされたましたね。連詩から受ける日本とトルコの詩人の資質の違いについて感想を述べてくれたのは、サリ・バラート(Salih Balat)という詩人です。人柄は優しそうなのだけれど、静かなる威厳というか、詩人としての風格を感じさせる人ですよね
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第三回
四元さん、お返事ありがとうございます。
様々な四元さんの投げかけ、大変興味深い問題が潜んでいるように思えます。
そうだ、まず、「ところで、肝心の連詩のテクストはどうなっているんだい?」と思われる方もいらっしゃると思うんですが、諸事情により、ここでは今のところ、全文を載っけられず、さわりだけしかご紹介できないのが残念なのですが、その場の背景をサイド・ストーリー的に書き出していくうちにぼんやり連詩
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第二回
三宅さん、
お手紙ありがとうございました。あれからちょうど一ヶ月ですね。まるでついさっきだったような。それでていてもう何年も前の出来事のような。
本当に夢のようでした。初日の発句ならぬ発詩で、ゴクチェが「手に手をとって小舟から湖に飛び込む」という一行を書いたら、その翌々日(でしたっけ?)ほとんど水没した建物の屋根の上から、本当にみんなで手を繋いで飛び込んだり。物静かでお淑やかなペリンや若いエル
トルコ・ハルフェティ連詩を終えて:三宅勇介 x 四元康祐 往復書簡第一回
四元さん、こんにちは。
今回、四元さんに誘われて、トルコの詩人の方々とトルコにて連詩を作るという企画に参加させていただき、途方もなく貴重な体験をさせていただきました。まず最初に御礼を申し上げます。また、私にとって、単に、詩歌の話だけではなく、自分の人生における体験としても大きな衝撃を持ちました。新しいものの見方を知ったという意味でも、またトルコの詩人のみなさんやそのご家族、友人、そして大変可愛ら
三宅勇介インタビュー:AI編(その3)
(前項より続く)
四元:「すべての詩の文章を『引用』で作った自由詩」、もう実際に書かれていますよ。たとえば谷川俊太郎の「日本語のカタログ」。ちまたに氾濫する日本語の断片をカタログ化して並べた作品です。最近の例では山田亮太の『オバマ・グーグル』。表題作はGoogleで「オバマ」を検索した結果表示された上位100件のウェブページからの引用だけでできた40ページ近い長編詩です。この詩集には、ほかにも雑
三宅勇介インタビュー:AI編(その2)
四元: たしかに三宅さんが『歌論』のなかで紹介されているAI短歌を読んでみると、それが人間の詠んだ歌ではないと断言するのは難しいですよね。
誉められた仁王立ちする書き置きと色えんぴつに行く先見れば
金メダル空白がある悪夢から不思議な世界見てる時間を
「短歌自動作成」anzenhyogo.comより
ぺらぺらの残
三宅勇介インタビュー:AIはどこまで詩に近づけるか?(その1)
四元: 三宅さんは最新詩集『亀霊』のなかに「三宅勇介の振りしたる人工知能による短歌」という作品を収めていらっしゃいますね。
焼き鳥の串突きつけて説教をするヒトの目の焦点合はず
その人の目をよく見ればその眼窩ぽつかりとしたる空洞なりけり
焼き鳥の頭部は透けてその脳に人工知能が埋め込めてあり
焼き鳥が短歌を歌へば五七調ならで二進法であるなり
短歌これ二進法で進む時歌やがて縄文語に近づく
「人工知能