第0話 失望
「この仕事どうすんだよ、いつまでに終わらすんだよ。だからこうしとけと言ったのにお前は」
「すみません」
私はIT系の会社で働いていたごく普通のサラリーマン。かつて新卒入社の会社を7ヶ月でやめ、次の年から同じIT会社に就職はできたものの上司の叱責にが絶えずやまなかった。ただ叱責されるだけではよくないとわかっていた私は自分なりに対策は練ってみたものの結果は変わらなかった。ここまで来るといじめに近い状態になりついには自分がなんのために働いているのか、何がやりたいのかわからず目の前が真っ暗な状態だった。会社の部長に相談し、上司の現場から離れることはできたが絶望感はいまだに消えないままだった。「本当にこれでよかったのか?」「この先どうなるのか?」その思いでいっぱいになる中、社長から呼び出しが。
「今度二人で話がしたい、この時間に会議室に来てくれないか?」
「はい、大丈夫です。」
当日、社長と久しぶりに会い社長は特に険しい表情などはなく特別悪い感じではなかった。
「まず君に伝えなければならないことがある」
「なんでしょうか?」
「今の君の状態を考えて会社から君に与えられる仕事はない」
「え、、」
嫌な予感は的中した。
「君の精神状態をよくするためになんども現場を変えているのに変わらないのは流石にこちらでも限界を感じている。それと、、、」
「・・・」
あまりにも悲しい現実にそれ以降の社長の話を全く覚えていない。私は生まれつき感受性がすごく強く、他人の雰囲気を見て気を使ってしまい、人間関係を気にしすぎて参ってしまうことが3度くらいあり、迷惑をかけてしまっていること自覚はしている。気にしすぎないように他のことを考えてみたり趣味に没頭したりをして紛らわしていたがそれでも厳しかった。社長からこの言葉を聞いて改めて気づいた。
「会社は人を救ってくれない」
その日は何も考えられずただ呆然とするしかなかった。
数日後、Facebookを開いて見ると大学のサークルの先輩Nのある投稿が目に入った。
「今日新宿で一日バー店長をやります!ぜひお越しください!」
「Nさんが店長か、、久々に会って話がしたいし思い切って行ってみるか」
即決断し、定時後にすぐ新宿のバーに向かった。
続く