渋谷が遠いものになっていく
兎にも角にもノイズが多い。
これが2年ぶりに東京の生活に戻った感想だった。
電車内では広告が僕を見つめてきて、繁華街では乾いた音楽が耳に入ってくる。
ついこの前まで、純白な雪があらゆる音を吸収しているアルプスにいたのだから、この感想を抱くのも無理はない。
あの世界を構成していたのは、青い空と白い雪と小さな僕、そして時折耳を撫でる風だけだった。
まだスイスを離れてから約3ヶ月。
すでにもう、自分があの世界にいたことが嘘のように思える。
実体験を持った過去ではなく、他者の昔の記憶