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リモートワーク時代に不可欠な考え方「ジョブ・クラフティング」とは?

こんにちは。日本生産性本部主任経営コンサルタントの黒田です。
最近、ジョブ・クラフティングという言葉を耳にする機会が増えてきました。皆様の周りではいかがでしょうか。
今回は、「ジョブ・クラフティングの成り立ち」「ジョブ・クラフティングの3つの方法」「リモート時代のジョブ・クラフティング活用」についてご紹介したいと思います。

【ジョブ・クラフティングの成り立ち】

米国の研究者たちが、ある病院の清掃スタッフ28名に「あなたの仕事」についてインタビューをしました。
驚いたことに、清掃スタッフの職務内容は同じにも関わらず、
それぞれのスタッフが語った「必要なスキルレベル」や「仕事内容・範囲」は、全く異なっていました。
ある人は、仕事の範囲を最小限に捉え、他者とのやりとりもできるだけ少なくして仕事をしていました。
一方で、自分の業務範囲を拡大し、看護師や外来患者ともコミュニケーションを取り、医療スタッフや来館者を助けている人もいました。

同じ職務内容でも、一人ひとりがその仕事を工夫して、働くことの意義や職業生活の意味を自分なりに構築している――。
調査した研究者たちは、これを「ジョブ・クラフティング(Job Crafting)」と名付けました。


【ジョブ・クラフティングの3つの方法】

清掃スタッフの仕事は単純労働と思われがちです。
工夫の余地は少なく、決められた作業を標準どおりに行い、監督者が定型化されたチェックリストで評価します。
しかしながら、彼らは積極的にジョブ・クラフティングをしていました。


ジョブ・クラフティングの方法は、具体的に3つあります。
1つ目は、「仕事の境界線の拡張」。清掃スタッフが迷子の人に道案内をする、といったものです。
2つ目は、「人間関係の拡張」。仕事を円滑に行うために看護師や医療スタッフとコミュニケーションを取ったり、同僚に仕事の出来栄えをフィードバックしてもらったりすることです。
3つ目は、「仕事への認識を変える」こと。自分の仕事は清掃ではなく、癒しを提供することといった、仕事を通じて提供する価値を別の見方から解釈することです。

【リモート時代のジョブ・クラフティング活用】

これまでは、「職務」は会社やマネジャーが定義するものであり、
仕事に多様性や自律性を付与することで従業員のモチベーションを向上させる、「職務設計」という考え方が一般的でした。
しかし、たとえ会社が定義した職務があっても、働く個々人が自分なりに業務内容や人間関係を拡張し、仕事の認識を再設計することで、
仕事への満足感や誇りを能動的に高めている、というのが新しいジョブ・クラフティングの考え方です。

また、従来の動機付け理論では、ヒトは受動的な存在で「刺激=反応」モデルが適用されると考えられていました。
一方、ジョブ・クラフティングでは、職務の再構成(会社による職務設計を従業員側から再設計すること)を通して動機づけがなされることとなります。

コロナ禍によるリモートワークの増加で職場に行く頻度が減少した今、
自分の担当する仕事自体の影響が強まっています。
これは、「個業化」と呼ばれ、しばしば職場の一体感が喪失するとして問題視されている現象です。

しかし、前回レポートした通り、仕事の改善に取り組み、それを通じて自身の能力発揮が可視化されることで、仕事への愛着や誇りが向上し、従業員満足度も高まる傾向が弊社の従業員満足度調査ツール(NiserES)のデータ分析に表れています。

「個業化」によって生じる職場の一体感の喪失などの問題を解決するため、
ジョブ・クラフティングの考え方をマネジメントに入れていくことが必要だと考えます。

ご関心のあるテーマや最近話題の気になる用語などございましたら、ぜひリクエストをお寄せください!


※前回のレポート内容はこちら↓
コロナ禍のいま、従業員満足度向上のために重要な要因とは?
https://note.com/jpc_0301/n/n9661fe20062e


黒田 和光(くろだ・かずてる) 
公益財団法人日本生産性本部 主任経営コンサルタント

日本生産性本部で経営計画策定および企業内教育プログラムの開発、海外での日本企業のグローバル化組織・人材に関する政府調査事業、各種プログラム開発、国内中小企業への個別支援、現地法人の支援等に従事。現在は経営コンサルタントとして、組織変革・組織開発のコンサルティング、中業企業診断士養成課程指導員、研修講師を主に担っている。

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