【連載】 私の執筆スタイル 「独房」 福原充則
📖この記事について
この記事は……
会報「ト書き」の人気連載、「私の執筆スタイル」拡大版!
日本劇作家協会の広報委員会Webチームの編集により、2024年度中に8本のエッセイをお届けする予定です。
「私の執筆スタイル」とは……
執筆時習慣やこだわりについて綴る連載エッセイ!
劇作家の創作の場を垣間見る企画です。
今回の執筆者は、福原充則さんです!
私の執筆スタイル 「独房」 福原充則
脚本は、長いこと深夜にファミレスで書いていました。が、24時間営業のファミレスがほぼなくなったのと、ひと月にファミレスで使うお金を計算したら安いところなら借りられそうな金額だったので、今は仕事場を借りてます。
と言っても、2畳ほどのシェアオフィスでほぼ独房。仕事の資料と冷蔵庫と遊び道具でいっぱいで、椅子に座ると壁かプラケースに身体のどこかが当たります。
ただ、椅子は仮眠を取る時しか座りません。原稿は立って書くスタイルです。立って書くようになって10年以上経ちますが、ほとんど肩こりがなくなりました。座り書き時代は肩こり死するんじゃないかと思ってましたけど。
ここのシェアオフィスは6階建てで、ワンフロアに9部屋の独房がありますが、私のいる階で、毎日顔をだすのは私だけです。ここの住所で法人の登記ができるので、そのために借りてる人がほとんどで独房の中は空なんです。
他のフロアには毎日来る人もいます。上の階にイギー・ポップにそっくりな人がいて、尿意をもよおす間隔が同じで、日に何度もトイレの前で合うので恥ずかしいです。話したこともないですけど、自分にとっては「執筆する環境に常にいる人」なので、イギー・ポップも執筆の一部です。
あと独房の中には絵を飾ってます。昔は音楽聴いたり、一度みた映画を流しながら書いてましたが、今は絵を眺めるのが一番息抜きと活力になります。眺めるというか脇にいて見守っててもらうというか。石原七生さんとか村上佳苗さん、Rockin’Jelly Bean、新井英樹先生の複製原画、土田世紀先生の巨大なやつは、キンコーズで拡大したのをもらってずっと飾ってます。
絵なんて長らく興味なかったんですけど、でも思い出してみると、私の小学校の卒業文集に書いた作文、「将来はゴッホみたいな絵描きになりたい」でした。当時はキン肉マンの絵を描くのが得意でした。
あとはアクリルスタンドに見守ってもらってます。こちらは、吉野寿、中津川弦、松下優也、エノッキー・サンダーボルト(敬称略)の4名です。助けられてます。
締め切り直前だと、ここで1日20時間くらい書くこともあります。パソコンの前から逃げたくなったらネットで舟券買って競艇やります。結果が気になってとりあえずパソコンに張り付きますから。で、張り付いてりゃなんかしら書き進めますから。勝てば調子よく書けるし、予想のキレが悪い日も執筆に戻らないといけないので深追いして大負けすることはないです。書いて、買って、勝って負けて、絵を見て、書く、の毎日です。
⭐️こちらもチェック⭐️
私の執筆スタイル「机に向かって書かない」 竹田モモコ
も、同時公開中です。
こちらもぜひご覧ください。
💁♂️劇作家協会noteのご紹介
今回「私の執筆スタイル」に寄稿してくださった福原充則さんは、劇作家協会の広報部にも所属しております。
劇作家協会noteにあります、
『あの町この劇場』 福原充則 編
にも寄稿してくださっています。ぜひご覧ください!
また、劇作家協会のnoteでは、さまざまなコンテンツを掲載しております。
・日本劇作家協会FAQ
・劇作家座談会「子育てしながら仕事するってどんな感じ?」
などなど……
ぜひクリエイターページより、気になる記事をチェックしてみてください!
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70号「特集 三十年、四世代」
(2024年3月末発行/全68ページ 37MB)
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69号「特集 いま演劇を取り巻くもの」
(2023年3月末発行/全60ページ 27MB)
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