【日本語教師】斜め上の質問に心かき乱される話①
こんにちは。
日本語教師なら誰でもあろう、学生からの「斜め上の質問」をできる限り思い出して忘れないように書き留めたいと思います。
いくら入念に準備していても突然やってくる「斜め上の質問」
非ネイティブだからこその着眼点。
でも、こういう学生って大事です。ネイティブが気づかないところに気づかせてくれる貴重な存在です。
一時期は「斜め上の質問」に恐怖すら感じていましたが、今はある程度対応できるようになったので、それも含め日本語教師の皆さんと情報共有できればと思います。
文型:~なら
そもそも教えるの難しい問題
この文法は本当に教えるのが難しい。
よく「と・ば・たら・なら」というひとつのセットでYou tubeなどにも動画が上がっていますね。単体で教えるのはそこまで難しくないけど、既習文型が増えると
「え、じゃあたらとならの違いは?」
と、疑問に思う学生が必ずでてきます。
私も初めて教えたとき、その動画や文法書、先輩たちの授業風景のビデオ、様々なものを見聞きして初戦に臨みました。
私の学校では「できる日本語」を使っています。
「できる日本語・初中級」の第1課で「なら」が初登場します。
ここで出てくる「なら」は「限定」の「なら」です。
それ以外の「なら」の使い方は学校や教科書の方針により、ここでは教えません。
A:日本料理が作れますか。
B:簡単な料理なら作れます。
こんな感じの会話を練習します。
導入も終わり、いざ会話練習が始まりました。
やたらと目立った誤用と斜め上の質問
こんな会話が目立ちました。
この誤用が目立ったので、指摘すると
学生:じゃあ、答えるときは "なら+否定形" を使えないんですか?どうして?
・・・・・・・😱😱😱
え、理由・・・???
正直、すぐ頭に浮かびませんでした。
私が勉強してきた中には学生の質問に対する答えがありませんでした。
100%誤用だということはわかるのに、はっきりと理由が言えない。
「自然じゃないから」では学生は納得しません。
「自然じゃない理由」があるからです。
私がした対処法
①前提をはっきりさせる
まず、ここで使われている文型の会話の状況を確認し、学生の質問を深掘りして、前提が何なのかはっきりさせました。
つまり、どんな質問を前提とした答え方を聞いているのかを学生に聞きながら考えました。
質問のフレーズを聞くと
明日、店に来られますか。
週末も働けますか。
コーヒーが好きですか。
と、こんな感じの質問フレーズが出ました。
勘のいい人ならここで気づくと思いますが、当時の私は気づけず…
「うーん、この質問にも "なら+否定形" では答えないね…」と理由を説明するまでには至りませんでした。
②私の宿題にする
どうしても、その授業中に「理由」までは説明できなかった私。
なので学生には「次回までの私の宿題にします」と伝えて授業を終えました。
ところが!!!!!
探しても探しても答えが見つからない!!
同僚に聞いても、文法書を読んでも、ビデオを見ても何してもダメ…。
途方に暮れて、もう一度「できる日本語」の「課ごとの道しるべ」を読み返していました。
ここでやっと気づきました。
明日、店に来られますか。
週末も働けますか。
コーヒーが好きですか。
これらの質問は
「来られるかどうか」
「働けるかどうか」
「好きかどうか」
について聞いています。
なので「なら」を使って否定形、つまり「行けない・働けない・好きじゃない」と言う必要がないのです。
行けるけど(限定して)なら
働けるけど(限定して)なら
好きだけど(限定して)なら
「行けない・働けない・好きじゃない」ことを言いたいなら
いいえ、行けません。
いいえ、働けません。
いいえ、好きじゃありません。
これでいいんです。
質問の中にヒントがありました。
その後のクラスで学生に説明することができました。
最後に
この説明が正解かどうか正直わかりません。
同じような経験をされた方、またはこの学生の質問に対する明確な答えをお持ちの方がいたらぜひ教えていただきたいです。
まだまだ5年ぽっちの経験しかないので、間違うこと、勉強不足なところもたくさんありますが、ここに書いて共有して少しでも誰かの役に立てたり、日本語教師に興味を持ってもらったり、同じ日本語教師の方にアドバイスをもらえたら嬉しいです🙇♂️