飲んだくれが助かったタイタニックの生存者

映画「タイタニック」の中で、沈没する船の側面にジャックとローズが乗り上げるシーンがある。ローズが振り向くと、口ひげを生やした紳士が怯えた様子でいる。あの男は、実生活でもワルだったチャールズ・ジョウギン(Charles Joughin)をモデルにしている。

彼は、タイタニック号の沈没原因を突き止めることを任務とする英国タイタニック号事故調査委員会の尋問を受けた。以下が彼の尋問である。

捜査官「子供たちをボートに乗せる時、どうしましたか?
ボートに手渡しで乗せたのか、落として乗せたのか、投げ入れて乗せた?」

ジョウギン「投げ入れた」

捜査官「母親はどうしたんですか?」

ジョウギン「私たちは彼女も放り込みたかったのですが、彼女は自分で乗り込もうとしたのだと思います」

捜査官:「母親はどうしたんですか?」

ジョウギン「足を踏み外した」

捜査官「あなたはボートに乗らなかったと言いましたね。なぜ行かなかったのですか?」

ジョウギン「もし私がボートに飛び込んでいたら、悪い見本になっていたでしょう。男たちは誰もボートに乗ろうとはしなかった」

捜査官「ボートが沈んで消えたのを見た時、あなたは下の船室に降りたと言った。下に降りて何をしましたか?」

ジョウギン「部屋に飲みに行った」

捜査官「何を飲んだんですか?」

ジョウギン「酒だ」

調査団委員長「飲んだ物が何であったかは、それほど重要なことですか?」

捜査官コッター「はい、閣下、これは非常に重要なことなのです。彼が酒を飲んだことは、彼の命が救われたことに大いに関係があると思います」

女性や子供たちを助ける合間に、ジョウギンはショットを煽るためにキャビンに戻り続けた。最後の救命ボートが出発するとき、ジョウギンは冷静さを保ち、エレベーターのようにゆっくりとタイタニック号から下船した。

酔っぱらいはvasodilation(血管拡張を引き起こす症状)のため、しらふの人より凍死しやすい。すべての血液が重要な臓器から皮膚の表面に分散するため、泥酔者は低体温症になりやすい。しかしその夜の北大西洋の気温約-2℃(26.4°F)であり、海中でのジョウギンの血管を収縮させるのに十分な冷たさであった。

ジョギンは水中では比較的落ち着いており、怪我の痛みも感じなかったという。水中で2時間過ごした後、ジョウギンは横転した救命ボートに乗り込むことができ、その後救助された。