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対面開発の秘訣は「課題を疑うこと」_ ヒアリング編
エンジニアリングで「楽しく働く」を追求する会社、ジョイゾーのnoteへようこそ。ここは、取締役COO・四宮琴絵(以下、琴絵さん)が営む「琴絵の部屋」。琴絵さんのもとには、社員はもちろん、クライアントや他企業で働くエンジニアや子どもまで、琴絵さんとおしゃべりをしにやってきます。
本日訪れたのは、SES企業のエンジニアとして働くK。ジョイゾーの特長である「対面開発」に興味を抱き、「琴絵の部屋」を訪れました。
2時間×3回の打ち合わせで、コンサルティングからシステム開発まで39万円でやり遂げるのが、ジョイゾーの対面開発『システム39』です。
ノーコードで業務アプリが作れるサイボウズの『kintone』を使うとはいえ、こんなに短い時間でクライアントの満足するシステムがつくれるのでしょうか? 一体どうやって?
エンジニアとしてのKの疑問を解消すべく、初回の対面打ち合わせで行われる「ヒアリング」について琴絵さんに聞きます。
また、ヒアリングを含めた「システム39」のノウハウが学べる教育プログラム『J Camp』についても伺います。
クライアントの課題にヒットする的確なヒアリングのカギは、「疑うこと」「違和感を見逃さないこと」にありました。
四宮琴絵(しのみや・ことえ)
株式会社ジョイゾー取締役COO。サイボウズ社提供「kintone」の定額開発サービス「システム39」コンサルタント。システム会社に事務職として就職した後、システム部への異動を希望しエンジニアとなる。結婚を機に退職し、約10年主婦業と子育てに専念する。2014年に復職し、対面開発のエンジニアとして、COOとして業務執行の責任を持ちながら、会社の経営にも参加する。故郷である北海道釧路市で、地域の起業家支援やイベント企画をする合同会社Hokkaido Design Codeを女性3人で起業。
ロジカルな説明ができてこそ、必要なシステムがつくれる
ー私も仕事でお客さまの困りごとをヒアリングしています。今日は琴絵さんのヒアリング術を盗むつもりできました!
ぜひぜひ(笑)、何でも聞いてください。
ーでは率直な疑問から。初回打ち合わせでジョイゾーに来られたお客さまに、まずどんなことを質問しますか?
お客さまによって業種やお悩みはさまざま。まずは、私たちに相談したいことをありのまま伝えてもらいます。
「kintoneでこんなことがしたい」「業務でこんなことに困っている」など、お客さまがどの程度現状を把握して具体的な課題を持っているのかを聞き、それに合わせて対応を進めていきます。
kintoneで何ができるかを知りたいという方には、目の前でシステムをつくりながら20分くらいデモンストレーションをします。
ー打ち合わせは2時間が3回で、料金は39万円。計6時間で必要な情報を聞き出し、システム構築まで行うなんて、簡単ではないですよね?
時間も料金もあらかじめ決まっているからこそ、範囲内でどこまで必要な機能を実装していくのかが要件定義(*)で行うヒアリングの鍵となります。
*要件定義……ユーザー企業の要望を調査し、システムで実装する機能を確定する工程。
ご要望に対して予算では叶えられないとき、どこまでならできるのかといったことも率直にお伝えします。そのために、お客さまがkintoneを使って実現したいことをすべて聞き出すわけです。
私たちにいただく要望は、営業の方だったら、顧客情報と営業の案件情報を紐づけて、案件を受注したら請求書に出力できるようにしたいなど、本当に様々です。
お客さまの求めることの全体像が見えたら、システムが導入される現場の業務フローを詳細に確認していきます。
普段当たり前にやっていることは、当人たちは「なぜその業務をしているのか」に気づいていないことが意外と多いんです。
特別な理由もなく続けている業務なら、それに付随するシステムの機能は不要。現状のフローをそのままシステムに置き換えるだけでは、業務改善に十分な効果は得られません。
本当につくるべき機能を厳選するため、普段の業務をどんな理由で行っているのか、振り返って確認や発見をしてもらうつもりで質問を投げています。
私たちからの客観的な質問は、お客さまにとってもカギになります。
会社としての業務を論理的に整理させていただき、ロジカルに理解し合う。これができてこそ、双方が納得できるシステムがつくれるんです。
課題に囚われないために「懐疑的に聞く」
ーこれからジョイゾーに相談しようと検討されている方は、どんな準備をしておくといいでしょうか?
自分たちのやりたいことを絵でも箇条書きでもいいので、書いて持ってきてくださると進めやすいです。お客さまのほうでシステムの仕様を決めて、設計書まで用意してくださるケースもありますが、具体的でなくて問題ありません。
というのは、お客さまが感じている課題が本当の課題ではないこともあるから。
お客さまは目の前で起きている困ったことを課題ととらえているけれど、その原因が何かをひも解いていくと、別の課題が浮上したりします。そこを解決すれば、元の困りごとが解消することもあります。
問題の原因は業務内容か、業務手順か、あるいは担当者のスキルか。1つの課題には多面的な要因があるので、「これが課題だ」という思い込みに囚われないこともすごく大事です。
ーまずお客さまが現状から課題を見つけて、ジョイゾーのSEと見直し、課題の根本を探っていくのですね。初めて訪問される方たちとここまで深く話を詰めるために、どうやって信頼関係を築かれていますか?
私たちはkintoneを使ってシステム開発をするSIerですが、システムを入れることを最終目標にはしていません。kintoneありきで相談を受けていると、kintoneの中でできる、できないの話になってしまいますからね。
最も重要なのは、相手にとってベストな解決方法は何かということ。
もしお客さまのやりたいことがkintoneでは難しいのなら、そう伝えます。ほかのツールのほうがよければそちらをお勧めします。
例えば、MicrosoftのExcelには、グラフの作成やピポットテーブルなど、データを加工する機能が充実しています。
kintoneにもグラフ機能は備わっていますが、やりたい内容によっては現状のExcelのままがよい場合もありますので、kintoneとExcelをうまく共存する形なども提案をします。
お客さまの業務を理解し、徹底的に課題と向き合うことで、「自分たちのやろうとしていることを理解してくれている」と感じていただけます。
それが信頼関係に繋がっていると思います。
社内の会話での「問いかけ」と「説明」が役立つ
ージョイゾーのSEは、琴絵さんのようにヒアリングのスキルが高いのでしょうか。そのノウハウはどのように社内で共有されているのでしょうか?
社員は日常的に私から質問攻めにされているので、鍛えられているところはあります。いま社内での会話はLINE WORKSを使っていて、「これどういう意味で言ってるの?」「なんでそう思ったの?」と私に頻繁に詰められてる(笑)。
ー普段からロジカルであることが要求されるのですね。
会話の中で疑問が生じてくると聞かずにはいられない私の性分もありますが、「物事にはすべて理由がある」と考えるのは、SIerとして必要だと思います。
社内での報告や相談、疑問に感じるところは納得いくまで質問します。なんだか話がかみ合わないなと思ったときも、決してその違和感を見逃さないようにしています。
説明できなければ根拠が不十分だということ。オッケーは出しません!
お客さまと話を進めていく時も同じ。抱いた引っかかりを見過ごさずに立ち止まって確認すると、認識に齟齬が起こっていることは少なくなりません。
ここを見逃してしまうと、システムを構築後のクライアントに不満が残ることがあります。
新サービス『J Camp』が目指すもの
ー3月に新しいサービス『J Camp』をリリースされました。これはどう言ったサービスでしょうか?
「システム39」は、システムをつくっていく過程でお客さまがシステムの機能や考え方を学べる機会にもなっています。
システムは、完成後の運用のほうが重要。完成が「はじまり」なんです。
つくったシステムを社内で定着させるには私たちにはできませんから、お客さまたち自身に継続して取り組んでいただく必要があります。
『J Camp』は、そんなシステム運用を見据えての、お客さま自身にそのノウハウを学んでいただくサービスです。
社内システムをよく理解し、より良くするのが楽しいと思えている会社は、システムがきちんと稼働していて日々改善もされています。
使い続けるなかで改善点が見えてツールのアップデートに対応したり、会社の事業やスケールの変化に応じて、別の開発手法を考える必要も出てくるかもしれない。
それらを判断できる人が、システム開発に携わった人以外にも社内で増えるといいなと思い、このサービスを始めました。
ー具体的にはどういったことが学べるのでしょうか。
受講期間は4日間で、初日はデータベースの概念といった基礎知識を覚えていただきます。
それから「システム39」で私たちがやっている、業務の見直し・改善の取り組み方を学んでいただく。後半2日間でkintoneを使ってシステム開発を実践していただきます。開発担当とお客さま役に分かれて、ロールプレイング形式でやりますよ。
ーえっ、お客さまが『システム39』をやっちゃうんですか?
そうなんです。どんなお客さまがどういう状況で来られるか。複数のシナリオを用意しています。受講された方は、それに対する改善提案をしていただきます。
ワークショップのようなロールプレイングを通して、私たちやお客さま役の受講者さんからフィードバックを受けます。
最終日には、業務改善職として胸を張って名乗れるぐらいスキルが身についてます。
ーシステムに対してだけでなく、あらゆる業務が飛躍的に改善しそうです。
ある企業の情シスの方は、現場で仕事をしている人の業務理解が深まり、現場のやりたいことに伴走できるようになったとおっしゃっていました。
課題を抱えている部署だけでなく、他の部署とも合わせて全体的な改善策を考えられるようになったとも。
ジョイゾーが10年以上かけて培ってきたノウハウを、それぞれの企業で業務改善に役立てていただけるとうれしいです。
ジョイゾーは、エンジニアリングで新しい波を広げます
ジョイゾーは、サイボウズ社の「kintone」(キントーン)を専門にコンサルティングやシステム開発を行うSIerです。すべての人生を楽しくするために、SIerとしてエンジニアリングの可能性を追求しています。
編集協力/コルクラボギルド(構成・コルンジックさやか、編集・平山ゆりの)