archive01 GOLD AGAINST THE SOUL―プロローグ― by Manic Street Preachers
信念に逆らう物欲。潔白さの喪失。
幼年期から成年期に
かけて人はすごく自然に振る舞う術を忘れてしまう。
赤児の口を手で塞げば必死で抗うように。
成年期にどれだけ長い間、物事に対し投げやりにならずにいられるのか?ということ。
下らない消耗品や無意味な成功を手にい
れるためにどれだけ無駄な時間を費やすか?
ということだ。
自らの人生をえせ神格者のそれになぞられるように
―誰でも年に一度は日焼けした肌を誇りたがるように。
子供達が本物の夢を見ている間に、大人どもは悪夢を見る。
雨や時間や苦痛、そして嫉妬や羨望や失敗が君の想像力を洗い流してしまう。欲望や敗北が君の信念を腐食する。
君がかつてあれだけ欲しがってたもの全てが決して
自分の手には入らないこと、そんなものは最初からこの世には存在さえしなかったことに気付く。
成年期には記憶もなく、君はただの無能者。
君がどんなものを欲しがろうが
決して手にすることはできない。
君がどんなに大切にして
いるものでもいつかは失ってしまう。
運が良けりゃ錆びつ
いた車や、住んでいるだけで気が滅入りそうなボロ家ぐらいは手に入るかも知れないけれど。ヘタに思考力を得たって余計孤独感が増すだけ。
無知で思慮のない議論が泥試合に終わるように。君は暗黒の中で悲鳴を上げる。永遠に.....。
(リッチー・ジェイムズ『GOLD AGAINST THE SOUL―プロローグ―』、
ゴールド・アゲインスト・ソウルのライナー・ノーツより引用、児島由紀子 訳)。
(2012.04.03)