ドキドキ
紹介されたとはいえ、知らない人とメールをしている事が悪い事なんじゃないかと、当時の私はビクビクしながらメールを返した。
(これ、警察に捕まったりとかしないよね?)
不安になった私は友達にも相談した。
そう、私はあまりにも外の世界を知らなさ過ぎた。
知る機会を全て男と母に奪われていたのだと、後になって気付く。
他愛も無いメールのやり取りが始まった。
同じ県内の工業高校に通う、2つ上の先輩だと分かった。
写メの交換もした。
私は高校入学時、友達と撮ったプリクラ(当時は加工なんてものは無かった)を送った。
彼は友人に撮ってもらったらしい、遠目で俯いている画像だった。
全然彼の顔が分からなかった。笑
初めてメールのやり取りをしてから3日後、電話をすることになった。
その時、私はこんな事を聞いた。
「タバコは吸いますか?ギャンブル…特にパチンコとかしますか?あと、お酒は飲めますか?」
未成年に何を聞いているんだと思われるかもしれないが、私にとってはすごく大事なことだった。
男はタバコを吸う。
男はパチンコをする。
男はお酒が飲めない。
(答え次第では連絡を取るのをやめよう。)
すると彼は答えた。
『タバコは…あっ、一回だけ試しに吸ってみたことはあるけどそれ以来は一度も無いし、パチンコはそもそもやった事ないし、お酒は強い方かなー。親も強いし。』
「あっ、そうなんですねー。」
(良かった。なら大丈夫だ。)
『ていうか、敬語やめない?』
「いやっ、でも先輩なので。」
『いいから、いいから。なんか敬語で喋られるの嫌だし。』
そこからは会話も弾み、1時間ほど話した。
電話を切った後、なんだか少しドキドキしていた。