地域猫活動 その10
地域猫活動の記事にご注目いただきまして、ありがとうございます。各地で桜も散り始める今日この頃ですが、この先更に季節が進むと、あちこちで子猫の誕生という、今年最初の出産シーズンが心配になります。かわいそうな子猫を増やさないために我々が活動しているわけですが、なかなか隅々まで目が届かないこともあります。
猫との関係を築いたつもりだったけど
地域猫活動で、個体観察やTNR、さらには写真データなどをもとに管理しようなどと思ったら、当然猫たちとは「いい関係を」築いておかないと、先に進められないのは、容易に想像がつくと思います。やたらと猫たちを追い回すようなことがあれば、当然のことながら、猫たちから嫌われます。
前回までの、ナナと子猫たちについては、当たり前のことですが、触れても平気なぐらいまでお互いの距離を縮めることができたため、観察記録ができたのは言うまでもありません。通常ですと、外猫たちは人間とは一定の距離を保ち、その個体なりに「安全圏」をわきまえて行動しているはずなので、当然その限度を超えて、無理に近づくと逃げられてしまいます。専門家の方は、猫の観察をする場合、「空気のような存在」になることが大切だと提唱しています。わかりやすくて、いい言葉ですね。
しかし、結論から先に言うと、ある日突然ナナが子猫たちをくわえて(もちろん1匹ずつですが)保護ボックスを出て行ってしまったのです。それにはサスケも同行したので、私が気づいた時には5匹の家族が引っ越した後で、あっという間に保護ボックスは空き家となってしまいました。
原因は私ではなかった
当初私は、ちょっと心配になったことがありました。それは、ナナやサスケが人懐こく、撫でてあげることもできました。しかし、私が調子に乗って赤ちゃん猫の体重を測ったり、触って性別を調べたりしていたことが嫌で、そのために出て行ってしまったのかと反省していたところでした。
このキララは、ナナと似たような白黒ハチワレの柄ですが、ちょっと長毛種の遺伝子が入っているらしく、被毛がふさふさした感じで、尻尾が半分ぐらいの長さです。毛の感じは、季節によって少し容姿が違うように見えます。
実は、決してキララが悪いわけではありませんが、自分が出歩くエリア内で、快適に子育てできそうな場所として、前からこの保護ボックスに目をつけていたのかも知れません。ただ、キララは喧嘩で自分の縄張りを勝ち取るような性格ではなく、むしろ喧嘩になりそうな場合は、自分から身を引くタイプだったと思います。
従って、結果的にナナ親子は去って行きましたが、これは決してキララが追い出したわけではなく、ナナがいろいろと危険を感じたり、子猫が少しずつ動き回るようになってきたことから、引っ越しをしたのではないかと思いました。子猫を口にくわえて、母猫が何度か引っ越しをするということは、外猫の世界ではよくあることのようです。これ以降、ナナが子猫を連れてうちの庭に現れることも、町内で見かけることも、しばらくの間、ありませんでした。次回からは、ナナ親子の後に「入居」してきた、キララの話題になります。
本日も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。