地域猫活動 その17
いつも、地域猫の記事にご注目いただきまして、ありがとうございます。私と同じような立場で、地域に生息する飼い主のいない猫の管理をしている方は、全国的には、たぶん少しずつ増えているのではないかと思います。
しかし、猫の生態や個々の性格などは、非常に個体差があり、一般的に言われていることが当てはまらない場合も多いです。だから、多くの場合、わからないことがたくさんあって、試行錯誤しながら工夫と努力で乗り越えている方は多いはずです。
さらに、それとは別の問題で、個人でやるにせよ、団体としてやるにせよ、地域猫活動に対して、行政がどれだけ力になってくれるかということが、まだまだ課題が多いと思います。
そのひとつが、避妊・去勢手術に関する助成金制度です。私の住む自治体では、役所に申請から交付までの手続きが非常に煩雑で、しかも申請するに当たって、地域として団体登録が必要とか、個体識別の写真が必要で、しかも猫の性別がはっきりしていなければならないこと、しかも助成金の範囲内の金額で手術を引き受けてくれる動物病院が、市内にわずか2カ所しかなく、この助成金の金額で手術してもらえる「権利」のようなものを、とある地域猫団体が牛耳っているため、会員以外は一般価格にされてしまいます。つまり、「助成金を使いたければ、会費を払って会員になれ」というような妙な方式になっていることが大きな問題だと思います。
これがあって、大変な案件を抱えていた時にも、市からの助成金が使えず、そのために、どうぶつ基金のさくらチケットのお世話になり、市外はもとより、県外の動物病院を利用することも余儀なくされたのです。
私はこのことだけでなく、ほかにも問題点を感じて、この団体を現在は退会しております。
さらに、この助成金制度には、3ヶ月という有効期限があって、この期間中にTNRに成功しないと、助成金を受けられなくなります。それと、この助成金は、当然年間の予算額の範囲内で、なくなり次第終了というのはわかりますが、事実上申請は11月の末ぐらいが限度で、12月、1月、2月、3月については、申請ができない時期になってしまいます。
特に2月、3月というのはご承知の通り、日照時間の拡大と共に猫たちが発情期を迎えます。ここでTNRを進めておかないと、4月とか5月が出産のラッシュになってしまうことも十分考えられます。そう考えると、ありがたいけど使いにくい制度だと思います。できることなら、ほかの自治体がやっている方式を参考にしていただいて、改善してほしいところですね。
市内では、飼い主のいない猫の事で困っていても、高齢などのやむを得ない理由で「何とかしなくてはいけないと思っても、こんな大変なことならとてもできない」と言って、諦めてしまう人が少なくないと聞きます。
次に、死んでしまった地域猫をどうするかということです。家族同様に飼育されてきたペットの猫と同様に扱うことはできないにしても、管理をきちんとしている地域猫活動家からすれば、粗末に扱うことだけはしたくないと思うのが共通の考えではないでしょうか。
実は、以前私の住む町内でも、自宅前の路上で車にはねられて死んでいた猫を見て市役所に相談したところ、「生ゴミとして出してください」と言われて、非常に心を痛め、しかたなく民間業者に依頼したところ、その火葬のために3万円という料金を請求された人がいるという例があると聞きました。内容がわからないので、その料金が正当だったか不当だったかは判断できかねますが、いずれにしても、私も含めて年金生活をしている人にとっては、3万円という金額は決して少額ではないはずです。
そしてさらに、私は地域猫活動その16でご紹介した件のほかにも、残念なことに、2021年2月に地域猫の死に直面しています。
それは、地域猫呼称名でハツミという若いメスでした。なぜこの猫に思いがあったのかと言うと、私が2019年に地域猫の調査活動を開始してから、一番最初にうちの庭に現れた猫だったからです。その後も時々うちに餌を食べに来ることはありましたが、すでに紹介したナナやキララという同じ地域猫のメスがうちの庭を一時的に居場所にしていたことなどから、うちの近辺で見かけることはあっても、しばらくの間庭に現れることがありませんでした。やっぱり猫たちは敏感に気づいて、お互いの縄張りを侵略しないように考えていたのかも知れません。
そんな中、2021年の1月頃から、またハツミがうちの庭に来るようになりました。ただこの子は、私の目の前まで来て餌やチュールを喜んで食べましたが、決して触らせてはくれませんでした。そのため近くで健康状態を調べたり、駆虫薬などを施してあげられる状態ではありませんでした。
そのハツミが、2021年2月下旬のある朝、うちのベランダから見える場所で倒れているのが見えたのです。まだ寒い季節でしたが、とても天気のいい日でしたので、日当たりがいい場所で寝ているのかも知れないと思って外に出て確かめると、すでに息絶えて死後硬直していました。外傷や嘔吐したような痕跡もなく、虐待を疑うような状況も確認されなかったので、病死と判断しました。今考えれば、ちょうどその頃、週に3度も未消化の餌を嘔吐するということがあったのですが、どこか体調が悪かったのかも知れません。
ただ、この時困ったことは、我が家の庭だと、植栽の根がかなり頑固に張り巡らされていて、前回子猫を埋葬した時には何とかなったんですが、この時は遺体が大きかったので、大きくて深い穴を掘ることができず、火葬にしたいと考えました。地域猫として、初めて知り合った猫だったので、決して粗末に扱いたくなかったのです。しかし問題は費用! これについては、信頼できる業者がわからなかったので、いろいろ調べた結果、隣接する自治体二つでは、ペット用火葬炉を所有しており、市営の施設なので安い料金で利用できるとのことだったのです。ただし、これを利用できるのはどちらの自治体も住民のみとのこと。なので、そこに住んでいる知り合いにお願いして、ペット火葬(小動物扱い)として、動物の共同墓地に入れてもらうことができました。この時は本当に、わが街にも、公設の動物用火葬施設とペット霊園がほしいと願いました。
私はハツミのことを忘れません。初七日と四十九日、そして一周忌などの節目には、きちんと墓参りを済ませ、お供え物として使った猫缶のお下がりは、うちに来た地域猫たちに与えています。不幸な猫を増やさないことと、猫同士の喧嘩を少しでも軽減することができるように地域猫の管理をすることが、ハツミに対する一番の供養かと思った次第です。
本日も最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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