森田療法/すっとした動き
神経症はひどい時は心が固まってしまう。強迫観念というものはなかなか手ごわいもので、本格的に出ると自分ではどうすることもできない。私も経験したが、私は対人緊張だったが、四六時中恐怖感、不安感が生じる。寝ている時以外は.…。それが数ヶ月、何年も続く。どうですか?それは地獄です。翻弄されそれはとても辛い。結局はそれは自分が作り出したものなのですが、そのカラクリが分からないから堂々巡り。悪循環の無限ループから脱出できません。森田先生も鈴木先生もそのような状態を「とらわれてる」と言われました。そうですね。取り憑かれてるのですから正しい説明です。
本題に入ります。それを打破するには?。鈴木先生は独特の言葉を使いました。「すっとした動き」や「ちょろんとやる」「ふっとやる」とちょっとユーモラスですが、先生はちょっと茶目っ気のある方だったのですね。その「すっとした動き」とは対人緊張でも、心臓不安でも、先端恐怖でも、不潔恐怖でも、その症状に身構えているのではなく、ある意味軽い気持ちもあり、「とりあえず手を出そう」的なところも多分にあったのでしょう。とにかく動きを出すのです。心を動かす→「心に打ち出す」と先生は力説されました 。
「何とかして君たちの心の中に、そのような心の状態を打ち出すのだ!僕も一生懸命やっている。君たちも頑張りたまえ!」とよく励ましてくれました。高齢のお爺さんがですよ。先生は東大出身。眼光鋭く頭脳明晰。非常に優秀な人でした。治療はとても厳しかったですが、大雪が降った翌朝などは、広い病院内をくまなく見て回り、入院生全てに声をかけたりしてくれる優しさもありました。犬とバラの好きなおしゃれなお爺さんでしたね。身長は175cmはあり眼鏡をかけていて伊達男でした。当時オスのラブラドール犬がいて、散歩を通して私たちの治療に参加していました。可愛かったですね。
結論です。「すっとした動き」はよくある予期 恐怖を伴うものではなく、心を流れさせる第一歩です。あまり深く考えず体を動かす。森田療法は体験療法。本で学ぶ方も多いですが、それも否定しませんが体を動かしてください。日常の家事、仕事や勉強、雑用や外出。その全ての場合で当てはまります。気を配って心を動かすのです。その時心が流動する。先生は「君たちの心に流れ動く心を作り出す!」とはっきり言われました。今思えばそれは事実。先生も元神経症患者ですからね。しかも全治の経験者。その言は卓越していました。言い得て妙なのです。当時私は「この人はとてもすごい人だなあ〜」と感心し、半ばめったに会えない人だと感慨にふけっていました。