インドネシアにおける小売り市場展望
今回はインドネシアにおける小売り市場の展望について書く。
ここ1年弱、数回に渡りインドネシアを訪問し現地で会社経営しているインドネシア人、駐在で働いている日本人、また古くからのインドネシア人の友人や他海運関係、コンサル関係の方とも小売り市場について話してきたが、ずばり「インドネシア人向けの小売りを優先させるべき」との意見であるし、小職も同意する感想である。
特に飲食や美容等のお店が現地で出店する場合、どこをターゲットにするか、以前から私も考えてきたが、自分たちの周りは日本人もしくは日本を良く知る者が多いので、その日本人をターゲットにした商売及び出店、進出の方が想定しやすい面がある。例えば、日本人が多く住むエリアでの日本食レストランや居酒屋の開店、美容関係のお店を開く、はたまた日本人向けの不動産や旅行会社などなど。それらももちろん発展する部分はあるだろうし、既存の店舗や商品を上回る魅力があれば集客は可能だろう。ただコロナ禍で駐在員は減り、コロナ禍が過ぎた今日でも増加はしていない。それは日本人学校の生徒数を見ても明らかである。
そんな中で、インドネシア人の購買意欲は給与所得の増加と共に今も上昇気流の中にある。
特に海外のいいものを手にする、食する事はインドネシア人にとって欠かせない部分なのである。時期により、日本ブームや韓国ブームがインドネシアにはあり、今は少し韓国ブームが強いと感じる。それは企業戦略や芸能文化の伝搬に依るところが大きい部分もある。
ジャカルタの最新モールASHTA8は韓国のおしゃれなお店が多数入っている。日本食レストランやスイーツ店もあるが、韓国勢には及ばない印象である。
話を元に戻すと、出店形態や狙う層にも依るが、今後インドネシアにお店を出すという事を検討するならば、インドネシア人が好む価格、物、場所を現地最新状況と共に検討すべきである。あるラーメン店はここ数年、ジャカルタを中心にかなり店舗数を増やしている。高級モールから老舗モール、また日本人街とさまざまな場所にあるが、どこの店を覗いてもインドネシア人で賑わっている。しかも値段がそんなに安くなく、少し具沢山のラーメンになると日本でラーメンを食べるのと変わらない値段なのである。関係者に聞いたところ、減少傾向になりつつある現地日本人をターゲットにするのではなく、インドネシア人の中間層が多く来る場所に[ラーメン店]を開くという戦略勝ちなのである。給与所得が増加するインドネシアの中間層は購買意欲も新しい文化に触れるのも大好きなのだ。この様にインドネシア人をターゲットにした商売が成功を納めている良い事例だと感じる。
もちろん日本人をターゲットにしたお店に可能性がないわけではない。
私自身もそうだが、やはり数週間滞在するときには日本食が恋しくなる。安心して食べれるというのも事実である。夜になると駐在員たちでごった返す居酒屋や料理屋を見ると、長く続けて欲しいなといつも感じる。しかしここれで市場の発展の大きさという視点でインドネシア人をターゲットにした商売を検討する事が大きな利益と発展に繋がる点をアピールしたい。