生きろ vol.5
20分くらいで着くと言われていたタクシーが40分かかる。その間、御朱印帳を見たり、トンボ玉根付きみくじを買った。
それでも来ないから近所のパン屋さんで塩パンを買いセブンイレブンでホットの抹茶ラテのペットボトルを買いまた八幡宮に戻り、タクシーを待つ。
ようやく着いた頃には雨は上がっていて、バスでも良かったなと思う。でも、バスは混んでいるから苦手で、乗り換えしなきゃだし、電車の駅も近くにあるけど次の電車までまだ少し時間がある。
そんなことを考えているうちにタクシーが来た。
「齋藤さん?」
頷くと、後ろのドアが開く。
「すみませんね。前のお客さんがコロナで。消毒してたら遅くなりました」
「プロソニック浜松まで」
高林にある楽器屋とスタジオがセットになってて、電車の駅も近い。駅の郊外に住むメンバーが多いので、必然的に集まる場所はそこだった。
20分遅刻だが、電話がかかって来ないあたり、他のメンバーも遅れてる。
LINEを見るとdtmのアカウントに未読の通知があった。
みんな「雨で遅れる」と見ると「しゃ!」と一瞬ガッツポーズをとる。
タクシーは15分くらいで着いた。
「○○円になります」と言われ、私鉄の持っているデパートのカードを提示して、ポイントとお金を払う。
玄関先で、他のメンバーが待っている。
「あれ、みんな遅れるって」
「さすがに家近いし」
「電車で来れるし」
「お父さんが暇だったから」
さすがに今日はのんびりできると思ってた。
スタジオに入ると、メンバーはピリピリしてて、
「今日は早く終えて、食事行こうぜ」
今日は、いつもだったらお昼ご飯はすぐなのだが、スタジオ入りが遅くなったため、キャンセルを1度してしまい、15時からになり、それでも20分後だったからマックぐらいしかない。
学生がいっぱいいたのかこちら側の注文が多かったからか、その待機時間内に食べ物は届かず。
いつもよりリズムが早い。練習曲であるbampのEVERLASTING LIEの間奏を合わせながらオリジナル曲に繋げる。みんな完璧にしてる分、その流れでパンクに続いて行き、メロディラインを追っていくと興奮し出し、歌いたい気分になり歌い出してしまった。
みんなが笑いだし、
「すまんね」と謝り出し、
「いやこの形もいいかもね」
と、マネージャーが言った。
スタジオを出るとみんなが倍バーガーとポテトのLとコーラのLを食べ満足し、今日の音をアップルミュージックに録音し、全員で確認した。
その後、バスに乗り、文芸大前で降りる。