「バンド組みたい!」と思っていた頃もあります
結論から言うとその時から今に至るまで一度もバンドを結成したことがない。組もうと思えば組めたのだろうが、続けることはきっと難しいのだと思った。思い出作りの趣味か音楽で食べる道か。時間が取れなくなったら自然消滅する関係はやっぱ嫌だ。なんて色々言葉を並べてみるけどとどのつまり勇気がなかったんだ。俺には漠然とステージに立つ姿をイメージを思い描くことはできても実行する度胸がなかった。
今もギターは弾いている。前よりか上達した、と自分では思う。けれどもギター1だけで食べていくの不可能だ。断言できる。気分転換にジャカジャカ弾いているだけで「無駄じゃないのかなぁ」なんて思う時もあるけど楽しいから良しとしている。実際楽しいからそれはそれでいいのだ。教則本を見ながらコツコツと練習し、メトロノームのリズムに合わせて指を動かす。最初の頃はピッキングすら上手くできなくてピックをあちらこちらへ飛ばしていた。引っかかることもあった。そういうのがだいぶなくなってきた。もっとスムーズに弾ければなぁと思う。
音源を聴くのも好きだけどライブ映像も好きだ。一番はライブに行くことだろうけれど。実際に誰かが楽しそうに演奏していると「俺もあんな風にギターを弾きたい」と思うのも無理ないだろう。不思議と他の楽器はそこまで興味を持たなかった。唯一、幼い頃にピアノを習っていたが辞めた。あの時続けていれば……とちょっとだけ考えないでもない。ピアノも弾けたらかっこいい。
きっと、バンドを組んだら組んだで練習ばっかしそうだ。いつまでも本番を迎えることなくレンタルしたスタジオで音を合わせる。1人で完結していた趣味を複数人同時に行うことでどこかで感じていた虚しさを誤魔化すように。馬鹿みたいに大きな音で合わせるのだ。楽しいだろうな。
まじでここ何年も誰かと楽器を合わせたことがない。まぁ、そもそも周りに楽器を演奏している人がいないから仕方ないけど。
その日が来るのか分からないけど、いつか誰かに「バンド組もう!」と誘われても困らないように俺は自室でギターを練習しようと思った。