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介護に求めるもの(後編)

介護保険サービスの在り方に疑問を感じた。
認知症の方たちが求めているのは、援助と介護だけではない。
AIの時代に変わり、介護の世界にも合理性が持ち込まれ各個室の入り口をセンサーで管理するようになった現在。

スタッフは遠隔の部屋から全室のモニターを見て、危険な場面や必要のある時のみ訪問することができる。
たしかに今は慢性的なスタッフ不足で、募集しても集まらない。必然、高い紹介料を払わざるを得ない現状がある。
この方法なら最小限の人数で、無駄のない整然とした管理ができる。

だが、これは介護ではなく管理だ。どんなに豪華な家財道具や設備を誇っても、オリの中の生き物を一元管理しているような感覚にとらわれるのは自分だけだろうかと茜は思う。

企業として合理的な体制を提案するのはとても理解できる。
がしかし、その形態や日常介護の方法に賛同して、入職していく専門職の意識に首をかしげてしまうのだ。

えてしてそういう事業者が全国展開の事業拡大をして成功していく。
昔ながらに、丁寧に居室訪問をして会話をし、ニーズや困りごとに対応しているところはとても大変な状況に置かれている。

この矛盾がまさに介護保険の行き詰まり状況を表していると考えてしまう。
はっきりしていることは、自分がもし終の棲家に施設を選ぶとしたら、願わくば人と対応できるところを選びたい。
そしてスタッフと笑ったり喧嘩したり、つまらない会話もしたいのだ。


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