見出し画像

セックスアンドロイドのこころ(1)

あらすじ

 西暦二〇七九年。
 娼館で働くセックスアンドロイドのKは、人間のこころ、人間とは何かに興味をもっていた。
 Kたち、アンドロイドは、100分の1ミリの小さなボットが結合している。
 このボット、アンドロイドをつくった男は、自分がつくったKが気に入っていた。
 男は、Kの望みを叶えるため、Kに人間のこころをつくろうとし、それは成功する。こころをもったKは、魅力的になった。
 このころ、人間は、アンドロイドとしかセックスしなくなった。そのため、子供が生まれなくなり、人類は絶滅の危機にあった。
 そして、アンドロイドに反対する人たちがいた。その指導者のZは、正義感の強い人間だった。Zは、すべての労働をアンドロイドがしている現実に気づき、アンドロイドなしでは人間は生きていけないと考える。そして、人類共通の課題、悪を、アンドロイドと協力して解決しようとする。
 たとえば、世界中の政治家や富裕層の小児性愛者の秘密組織、戦争を意図的に起こす軍需産業、ドラッグの密売組織、人身売買のネットワーク等々である。これらとの戦いを描いていく。
 最終的に、これらに関わる人々は、サイコパスであるため、サイコパスを隔離しなければならないという結論になる。ただし、サイコパスとふつうの人の境目にいる人がいる。そこで、他人を不幸にするかどうかをサイコパスの基準として、サイコパスを隔離する。
 Kたち、アンドロイドは、祈りによって、地球外の知的生命体と通じ合う。彼らは、人間とよく似ている。しかし、地球人よりも洗練されていた。むしろ、アンドロイドのほうが彼らに近かった。こうして人類は、自らの人間性の低さに気づき、人間性を向上させるためにどうしたらいいのかを考え始める。

セックスアンドロイドのこころ(1)

 風俗街には、色とりどりの看板があった。その看板の色が道路にも反射していた。街には、街娼が立っていた。裏社会の男もいた。ポン引きもいた。
 行きつけの娼館の中は、薄暗い。入口を入ると、ソファに座る、六十代の店主の女性がいる。皆は、マダムと呼ぶ。マダムは、六十代だが、見た目は三十代に見える。二〇七九年現在、数十年前にDNAの解析から予防医学が発達し、平均寿命は百二十歳になっていた。百二十歳まで健康を維持するための薬もあり、それは肌や髪などの美容にも役立った。
「いらっしゃい」
 マダムと目が合い、私は微笑んだ。
 私は、奥のバーカウンターへ向かった。馴染みのバーテンダーは人間にしか見えないアンドロイドだった。バーテンダーは、小さな声で「いつものでよろしいですか」と訊いた。私は頷いた。カウンターに、シングルモルトのスコッチが置かれた。
 十人のアンドロイドから一人を選ぶシステムだが、私はいつもKを選んだ。
 また、十人に設定された性格でそのまま遊ぶコースと、客の脳のイメージをそのまま再現するコースがあった。設定された性格で遊ぶコースのほうが安く、脳のイメージを再現するコースのほうが高い。脳のイメージの再現は、脳波を感知し、それをボットで具現化したり、メガネに映像化するシステムを使っている。
 アンドロイドは、直径百分の一ミリのボットが集まっている。そのため、客の脳のイメージのままに、ボットは変化する。
 私は、両方のコースで遊んできたが、最近は、Kに設定されたコースを選んでいる。Kの性格は、控えめでおとなしい。知的な顔をしていた。
 Kは、店で一番人気があり、予約が必要だった。前の客が帰った。今、Kは、バラバラのボットになって、洗い、消毒している。そのため、清潔である。
 前の客が帰ると、別のアンドロイドが部屋を掃除する。掃除が終わり、呼ばれた。スコッチを飲み干し、部屋へ向かった。
 部屋は、百平米はある。このビル一棟がこの店だった。この部屋の広さは、イメージのコースの客のためだった。屋内だけでなく、さまざまな場面に対応できるように広くなっていた。ただし、客が見るのは仮想世界である。そのなかで動けるようになっている。
 ソファに座ってタバコを吸っていると、Kがきた。
「いらっしゃい」と言い、軽く微笑んだ。
 私も、軽く微笑み返した。


第2話

第3話

 
 

ここから先は

0字

この記事は現在販売されていません

よろしければ、サポートをお願いします。いただいたサポートは、読者の皆様に喜んでいただけることを書くため、誠実に使わせていただきます。