【エッセイ風】犬を飼った話
犬を飼ったのは中学生の頃だった。
犬を飼いたいと言った記憶はあるが、むしろ母親が欲しがっていたのだと思う。父の方は最後まで世話をしろよとか言っていたが、どこか距離をとっていたように思う。そんな家に、犬が来ることになった。
犬を見にいったのは春のこと。ブリーダーのところでみた子犬は、サークルのなかで眠っていた。一匹を手に抱くと柔らかくぐんにゃりとして初めて嗅ぐ匂いがしっとりとした。これが犬か。小さいのに確かに犬の形をしていた。
「どの子がいい?」
見ていた私は思う。ぜったいに