毎週ショートショート/かもしれない弁天

お父さん。お母さん。どうして僕を置いて死んでしまったのですか。

僕はもう悲しくてなにもやる気がしない。

先祖代々の菩提寺での納骨が済んだあと
気落ちしてる僕に住職が掛け軸を描いて下さった。
弁天様がたおやかに琵琶を構えている絵。
仏壇のある和室の床の間に飾り僕は毎日弁天様にも手を合わせた。

すると一年も経たずして恋人ができた。
長い黒髪のモデルのような美人。
彼女は毎日僕に連絡をくれて毎日愛の言葉をくれた。
彼女がいればもうひとりぼっちじゃない。
僕は彼女との結婚を決意してプロポーズすることにした。

だが予約した海辺のレストランに向かう途中。
センターラインを越えてきた対向車にぶつかる事故に遭った。
フロントガラスが砕ける一瞬「ビンッ」と何かが弾ける音がした。

二人とも奇跡的に助かったが翌日に警察官が病室に来て言った。

「あの女性は連続殺人の容疑者です。資産家の男性と結婚しては
　自殺に見せかけて殺害しては遺産を奪っていたんです。
　七人目の犠牲者にならずにすみましたね」

　退院して家に戻ると掛け軸が傾いて絵の中の琵琶が割れていた。
　つい涙ぐんだ。
　両親と弁天様が僕を守ってくれたのかもしれないと…。


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　こちらの企画に参加させて頂きました。
　いつか柴又の七福神巡りをしてみたいです。
　お読み下さりありがとうございました。
　たらはかに様　宜しくお願いいたします🤗🐧
　

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