毎週ショートショート/武器屋の餌付け

ぼんやりする目に映るゆっこちゃんは満面の笑みを浮かべてる。

私は頭がぐらぐらして姿勢が曲がってる自覚がないけど
ゆっこちゃんが斜めに見えるから傾いているんだろう。

「また勝手に知らない人にDMしたらお仕置きするからね」

耳を抑えて黙って頷く。気が遠くなってるから痛みも鈍い。

ゆっこちゃんが私を殴るようになって４年が過ぎた。
気に触る事があるとその辺にある物を手当たり次第に掴んでは私をボコる。
ゆっこちゃんはなんでも武器にする天才なのだ。

そして私を殴った後はいつもクリームシチューを作る。
それがものすごくおいしい。
出来上がるまでフローリングの冷たい板間で正座して待つ。
痛みと引き換えても食べたい。

高校の時にゆっこちゃんが好きな男子と仲良く喋っていたのが
最初のお仕置き。どんなに殴られてもノーリアクションだったのが
気に入らなかったのか、気に入ったのか、それから月一でやられる。

できたよとゆっこちゃんはシチューをよそる。
おいしそう、と覗き込むと「変な顔」とゆっこちゃんは笑った。

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こちらの企画に参加させて頂きました。
続きの「月夜の寝ぐせ」もあるのでお時間があれば読んでみて下さい。
たらはかに様  宜しくお願いいたします。

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