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頭が固い人ほど間違いに気づくまでが長い
介護の現場で働いていると、時に「こうするのが正しい」と信じて疑わない人に出会うことがあります。
もちろん、それは自分自身にも当てはまる話です。経験を積むにつれて、「これがベストな方法だ」と思い込む場面が増え、その考え方が行動に影響を与えることもあります。
しかし、そんな「頭の固さ」が原因で、気づくのが遅れてしまう間違いがあることも否定できません。この記事では、介護の現場での具体的なエピソードを交えながら、「柔軟な視点を持つことの大切さ」について考えてみたいと思います。
「頭が固い」とはどういうことか
そもそも「頭が固い」というのはどういう状態を指すのでしょうか?簡単に言えば、「新しい考え方や方法に対して拒否的で、自分の信じるやり方を変えようとしない」ことです。
介護の現場では、以下のような状況で「頭の固さ」が表面化することがあります。
昔ながらのやり方に固執する
「これまでもこうやってきたんだから、これでいいはず」という思い込み。新しい知識や技術が提案されても、「そんなものは必要ない」と取り入れることを拒むケースです。
他者の意見を聞き入れない
同僚や後輩からの提案を「経験が浅いから分からないだけ」と一蹴してしまう態度。
失敗を認めたがらない
明らかに問題があったにもかかわらず、「自分のせいではない」と考え、他人や環境のせいにしてしまう。
こうした態度は、その人自身の信念の強さやプライドの高さの表れでもあります。しかし、それが時として現場に悪影響を与えることもあります。
頭が固い人が間違いに気づきにくい理由
頭が固い人ほど間違いに気づくまでに時間がかかる理由には、いくつかの要因があります。
1. プライドが高い
自分のやり方や考え方を否定されることが、プライドに傷をつけると感じてしまうため、間違いを認めたがりません。「自分は経験がある」「自分の方法が正しい」と信じて疑わないことが、間違いを見逃す原因になります。
2. 客観的な視点を持ちにくい
自分のやり方に固執していると、他の方法や意見に目を向ける余裕がなくなります。結果として、自分の行動を冷静に振り返ることが難しくなります。
3. 周囲の声を聞き入れない
介護の現場では、チームで働くことが基本です。しかし、頭が固い人は他のスタッフのアドバイスや意見を「批判」と受け取り、反発することがあります。このような態度が、間違いを早く修正する機会を逃す要因となります。
具体的なエピソード:現場での気づき
エピソード1: 一辺倒な介護方法の失敗
ある日、食事介助を行っていたAさん(同僚)が、認知症の入居者様に対して強引に食事をすすめていました。
「食べてもらわなければいけない」という責任感からの行動でしたが、入居者様は食べることを拒否し続け、最終的には怒り出してしまいました。
私はその場で、「少し時間を空けてみましょう」と提案しましたが、Aさんは「私は何年もこの方法でやってきたんだから、これが正しい」と聞き入れませんでした。
その後、他のスタッフが時間を置いて対応したところ、穏やかに食事を進められたという結果に。
Aさんはその後も同じやり方を続けましたが、同じ問題が繰り返されるうちに、少しずつ他のスタッフの方法に目を向けるようになりました。
時間はかかったものの、最終的に「自分の方法が絶対ではなかった」と認めてくれたのです。
エピソード2: 新しい技術への抵抗
老人ホームで新しい移乗補助の機器が導入されたとき、Bさん(先輩職員)は「こんなものは必要ない。私の経験と腕で十分だ」と機器を使うことを拒否しました。
しかし、手動で移乗する方法では腰を痛める職員が続出。結果として、Bさん自身も体に負担を抱え、ようやく機器の使用を試すことになりました。
その後、「これをもっと早く使っていれば、自分も他の職員も楽だったのに」と後悔している様子が見られました。
頭が固い態度を変えるまでに時間はかかりましたが、それが業務効率を上げ、職員の負担を軽減することにつながったのです。
頭の柔らかさがもたらすもの
頭の固さに気づき、柔軟な考え方を持つことは、介護の現場で多くのメリットをもたらします。
1. 入居者様の満足度が向上する
一人ひとりに合った対応ができるようになるため、入居者様が安心して過ごせる環境を作ることができます。
2. チームワークが良くなる
他者の意見を尊重することで、職員同士の信頼関係が深まります。結果として、チーム全体の雰囲気が良くなり、スムーズな業務が可能になります。
3. 自己成長につながる
新しい知識や技術を受け入れることで、個人としてのスキルが向上し、自信を持って業務に取り組むことができるようになります。
まとめ:柔軟な心を持つことの大切さ
「頭が固い人ほど間違いに気づくまでが長い」という言葉は、私たち介護士にとって重要な教訓です。経験が増えるほど、自分のやり方に自信を持つことは自然なことです。
しかし、その自信が「柔軟性を失う原因」になってしまうこともあります。
大切なのは、間違いに気づいたときにそれを素直に認め、改善しようとする姿勢です。それができるようになることで、入居者様にとっても、職員にとっても、より良い介護の現場を作り上げていけるのではないでしょうか。
今日も、私たちの小さな気づきと学びが、明日のより良いケアにつながりますように。
最後までお読みいただきありがとうございます。