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不安や落ち込みやすい人とそうでない人の差とは?

私は日々、入居者様やご家族、そしてスタッフの皆さんと接している中で、ふと感じることがあります。

それは、人によって不安を感じやすい人とそうでない人、また落ち込みやすい人とそうでない人がいるということです。

同じような状況に直面しても、ある人は元気に前向きに受け入れ、ある人は深く悩んでしまう。

では、この「不安や落ち込みやすい人」と「そうでない人」の差は、いったい何から生まれるのでしょうか?

心のフィルターの違い


一つ目のポイントは、物事の捉え方、つまり「心のフィルター」の違いです。

私たちは同じ現実を見ているようで、実際には自分自身のフィルターを通して物事を見ています。このフィルターがポジティブな人とネガティブな人では大きく異なります。

たとえば、ある入居者様が「今日は体の調子が悪いな」と感じたとしましょう。

ポジティブなフィルターを持つ人は、「今日は少し休んで、明日また頑張ろう」と自分を励ます一方で、不安を抱えやすい人は「このままどんどん悪くなるんじゃないか?」と心配し、最悪のシナリオを思い描いてしまいます。

もちろん、どちらの考え方もその人にとっては自然な反応ですが、この「心のフィルター」の違いが、不安や落ち込みやすさに大きく影響しているのです。

過去の経験の影響


次に考えられるのは、過去の経験の影響です。人は、これまでの人生で経験してきたことをもとに、未来を予測しようとします。

不安や落ち込みやすい人は、過去に辛い経験や失敗をしたことで「また同じことが起こるかもしれない」と恐れる傾向があります。

例えば、以前に健康を大きく損ねたことがある入居者様がいるとします。

その方は、新たな体調不良を感じた時に、すぐに「またあの時のような大きな病気になるのでは?」と不安を感じてしまうかもしれません。

このような過去のトラウマが、不安や落ち込みの引き金となることがあるのです。

一方で、そうした経験が少なかったり、ポジティブな経験が多かった人は、「大丈夫、なんとかなる」という思考に繋がりやすいです。

過去の成功体験が、自信や安心感を生み出し、未来に対する不安を軽減してくれるのです。

支えとなる人の存在


第三に、不安や落ち込みを感じるかどうかに大きく関わってくるのは、周囲の人間関係です。

孤独感を感じている人や、心を開ける相手がいない人は、どうしても不安を抱え込みやすく、また落ち込みやすくなります。

逆に、支えてくれる家族や友人、同僚がいると、不安が軽減され、心の安定を保ちやすくなります。

老人ホームで働いていると、入居者様の中には家族や友人との繋がりが強い方もいれば、残念ながらそうでない方もいらっしゃいます。

例えば、毎週家族が訪れてくれる方は、日々のちょっとした不安も「次に会った時に相談しよう」と前向きに考えることができます。

一方で、家族との交流が少ない方や、友人が少ない方は、自分の中に不安や悩みを抱え込んでしまいがちです。

私たち介護士も、そんな入居者様の心の支えになれるよう心掛けていますが、それでも全ての不安を取り除くことは難しいものです。

やはり、家族や友人といった親しい人々との絆が、不安を乗り越える大きな力になるのだと感じています。

未来に対する楽観性


また、不安や落ち込みに強い人とそうでない人の違いは、未来に対する楽観性にもあります。

楽観的な人は、困難な状況に直面しても「きっとこの先には良いことが待っている」「今は大変だけど、これも成長の一部だ」と前向きに考えることができます。

この楽観性が、心を軽くし、不安を感じる頻度を減らしてくれるのです。

逆に、悲観的な人は、未来に対して「また悪いことが起こるかもしれない」と常に最悪のシナリオを想像しがちです。

この思考パターンは、特に何も起こっていない状況でも不安を生み出す原因になります。

未来に対する考え方が、現在の感情に大きな影響を与えるというのは、非常に興味深い点です。

自己肯定感の高さ


最後に、不安や落ち込みやすさに影響する大きな要素として「自己肯定感」があります。

自己肯定感が高い人は、自分の価値をしっかりと理解し、自分を大切にすることができるため、困難に直面しても「自分なら乗り越えられる」と思うことができます。

自己肯定感が高い人は、自分を信じる力が強く、少々の失敗や困難があっても「これも自分の成長の一部だ」と前向きに捉えることができるのです。

一方で、自己肯定感が低い人は、失敗やトラブルが起こると「自分はダメな人間だ」「何をやってもうまくいかない」と感じてしまい、不安や落ち込みが深まっていきます。

自己肯定感の違いが、不安や落ち込みに強いかどうかを大きく左右するのです。

まとめ


不安や落ち込みは誰にでも訪れるものですが、少しずつ心の習慣を変えていくことで、その影響を和らげることができます。

日々の生活の中で、自分の心を少しずつ観察しながら、どのように感じているのかを意識してみることが大切です。

自分が不安や落ち込みを感じやすいタイミングや状況を知ることで、その原因を理解しやすくなります。

そして、それに対して適切な対策を取ることができるようになります。

自分の感情に気づくことの大切さ


まずは、自分が今どのような感情を持っているのかに気づくことが重要です。

不安や落ち込みを感じているとき、私たちはその感情に支配されがちで、「自分がなぜこんな気持ちになっているのか」ということを考える余裕がなくなります。

しかし、感情は一瞬で生まれ、消えるものです。その感情を自分で「気づく」ことができれば、そこから対処法を考える余裕が生まれます。

例えば、入居者様の中には、ふとしたきっかけで過去の辛い思い出が蘇り、不安になってしまう方がいらっしゃいます。

そんな時、その方々が自分の不安に気づき、それを誰かに話すことで少しでも楽になることがあります。

私たち介護士は、その感情を丁寧に受け止める役割を果たしていますが、同時にご自身でその感情を理解することも大切だと感じます。

自分を許すことも必要


私たちは時として、自分自身に厳しくなりすぎることがあります。何かがうまくいかなかったり、ミスをしてしまった時に「自分はダメだ」と自己否定に走ってしまうのです。

しかし、誰もが完璧ではなく、失敗や不安を感じるのは自然なことです。自分に対して厳しすぎると、不安や落ち込みが長引きやすくなります。

不安を感じた時、「今はこう感じているけれど、それでも大丈夫。自分は価値のある存在なんだ」と自分に言い聞かせることが大切です。

不安や落ち込みを感じた時に自分を責めるのではなく、優しく受け入れることができれば、その感情が自然と薄れていくこともあります。

ポジティブな習慣を取り入れる


不安や落ち込みに対抗するためには、日々の生活の中にポジティブな習慣を取り入れることが有効です。

例えば、感謝の気持ちを持つことは、心をポジティブに保つための効果的な方法です。

毎日、感謝できる小さなことを探し、そのことに目を向ける習慣をつけると、自然と不安を感じる時間が減っていくでしょう。

老人ホームの入居者様でも、毎朝「今日も天気が良くてありがたいね」と感謝の言葉を口にする方がいます。

このような方々は、たとえ体調が思わしくなくても、不安に押しつぶされることなく、前向きに一日を過ごされることが多いです。

感謝の気持ちは、心に安らぎと強さをもたらしてくれます。

周りの人との繋がりを大切に


不安や落ち込みを感じる時、周りの人々との繋がりが心を支えてくれる大きな力となります。

孤独を感じると、不安は増幅し、落ち込みやすくなります。しかし、誰かと話したり、気持ちを共有するだけで心が軽くなることがあります。

私たち介護士は、入居者様の心のケアも大切にしています。

例えば、入居者様が何かに不安を感じている時は、ただ話を聞くことが大きな助けになります。

「誰かが自分の気持ちを理解してくれている」という安心感は、不安を軽減するための重要な要素です。

家族や友人、同僚との繋がりを大切にし、困った時には遠慮なく助けを求めることも、不安に対する大切な対処法です。

自分だけのリラックス方法を見つける


不安や落ち込みに対処するために、自分なりのリラックス方法を持つことも効果的です。

例えば、深呼吸をする、散歩に出かける、好きな音楽を聴くなど、自分の心をリセットできる習慣を取り入れることが大切です。

老人ホームで働く私たち介護士にとっても、日々の業務の中で心身をリフレッシュさせる時間を持つことが、長く健康的に働くための秘訣です。

おわりに


不安や落ち込みは、誰しもが感じることのある感情です。

しかし、物事の捉え方や心の持ち方を少しずつ変えていくことで、その影響を和らげることができます。

そして、過去の経験や人間関係、自己肯定感といった様々な要素が、不安に対する強さに影響していることを理解することが、心の健康を保つための第一歩です。

もしあなたが今、不安や落ち込みを感じているなら、焦らずに少しずつ、自分自身を見つめ直す時間を持ってみてください。

そして、周りの人との繋がりや、日々の小さな幸せに目を向けることで、少しずつ心が軽くなることを実感できるかもしれません。

どんな状況でも、あなたには不安を乗り越える力が備わっています。それを信じて、前向きに進んでいきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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