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幸せはいっぺんに花開くことはない?
介護の現場で働いていると、入居者様やご家族、そして同僚との日々のやり取りの中で、さまざまな感情に触れます。その中で私が強く感じるのは、「幸せというものは、いっぺんに手に入るものではない」ということです。
私たちが目指しているのは、入居者様が安心して過ごし、小さな喜びを感じられる日々をサポートすること。
けれども、日常の忙しさの中で、幸せの瞬間は見過ごされがちです。この記事では、私自身の経験を通じて、「幸せが少しずつ積み重なっていくものだ」と気づいたエピソードや、それをどのように日々の生活や仕事に活かしているのかをお伝えします。
幸せは小さな瞬間から始まる
「幸せ」と聞くと、結婚や昇進、旅行など、何か特別な出来事を思い浮かべる方も多いかもしれません。でも、私たちの生活の中で本当に心に残るのは、もっと小さな出来事や感情だったりします。
たとえば、老人ホームで働いていると、入居者様が何気なく見せる笑顔や、「ありがとう」という一言に心が温かくなる瞬間があります。
ある日、認知症を患っている方が、私の名前を思い出してくれたことがありました。その方は普段、人の名前を覚えていられないことが多く、自分でもそれを気にされていました。
けれども、ある日「○○さん、今日もよろしくね」と声をかけてくれたのです。その一言がどれほど嬉しかったか、今でも忘れられません。
この出来事は、私にとって特別な「幸せ」の一瞬でした。幸せはこうした小さな瞬間の積み重ねなのだと感じました。
「いっぺんに花開く幸せ」を求めていませんか?
現代社会では、何か大きな成功や成果を求める傾向が強いと感じます。それは私たち介護士の仕事でも同じです。
「入居者様にもっと笑顔を増やしたい」「業務をもっと効率的に進めたい」といった目標を持つのは素晴らしいことですが、目標が大きすぎると、達成できないことで自分を責めてしまうこともあります。
ある同僚は、「もっと入居者様全員に喜んでもらいたい」といつも努力していました。しかし、ある日、「どんなに頑張っても全員を満足させるのは難しい」と悩んでいる様子でした。そのとき、私はこう伝えました。
「一度に大きな花を咲かせるのは難しいけど、毎日小さな花を咲かせていけばいいんじゃないかな。」
この言葉は自分にも言い聞かせるつもりで話しました。幸せという花は、一つひとつ、小さな蕾から少しずつ咲いていくものなのだと思います。
小さな花を見逃さないために
忙しい日々の中で、小さな幸せに気づくのは簡単ではありません。特に介護の現場では、入居者様の体調や感情の変化、同僚との連携など、注意を払うべきことが多いですよね。そんな中でも、少しだけ立ち止まり、「小さな花」を見つける習慣をつけることが大切です。
今日の良いことを思い出す
一日の終わりに、今日あった「良いこと」を3つ思い出してみましょう。それは、大きな出来事でなくても構いません。入居者様の笑顔や、同僚との会話の中で感じた安心感など、どんなに小さなことでも良いのです。この習慣を続けることで、日々の中に隠れている「幸せの蕾」に気づきやすくなります。
相手の喜びを観察する
入居者様が笑顔になった瞬間や、同僚が「ありがとう」と言ってくれたとき、その背景には何があったのかを考えてみてください。それが自分の行動から生まれたものであれば、そこにあなたの存在価値を見つけることができます。
自分を大切にする
幸せを見つけるには、自分自身の心の余裕も必要です。忙しさの中でも、自分の好きなことやリラックスできる時間を意識的に作ることで、心が穏やかになり、小さな幸せに気づきやすくなります。
入居者様から教わった幸せの積み重ね
老人ホームで働いていると、入居者様から幸せの本質を教わることが多々あります。ある入居者様は毎朝窓際でコーヒーを飲むのを楽しみにされています。コーヒーの香りを嗅ぎながら、「これが一番の贅沢だね」と微笑むその姿に、私も心が和みました。
その方に、「どうしてそんなに毎日を楽しめるんですか?」と尋ねたことがあります。すると、こうおっしゃいました。
「若い頃は幸せがドカンとやってくるものだと思っていたけどね。年を取るとわかるのよ。毎日少しずつの幸せが一番大事だって。」
この言葉にはっとしました。幸せとは、日々の小さな瞬間を積み重ねていくこと。その積み重ねが、やがて大きな幸せの花を咲かせるのだと実感しました。
幸せの花を咲かせ続けるために
幸せがいっぺんに花開くことはありません。大切なのは、毎日の中で少しずつ幸せの種をまき、それを丁寧に育てていくことです。介護の仕事に限らず、どんな仕事や生活にも、この考え方は応用できるのではないでしょうか。
今日も、あなたの周りにはきっと小さな幸せの蕾がたくさんあります。その一つひとつを見逃さず、丁寧に咲かせていくことで、自分自身も周りの人々も、豊かな気持ちで過ごせるはずです。
このブログを読んでくださった皆さんが、少しでも心穏やかに、幸せを感じられる時間を持てますように。
最後までお読みいただきありがとうございます。