映画「ルート29」感想

綾瀬はるかさんが主演ということ “だけ” で見に行きました。
事前知識ほぼなしです。子連れで何かする映画らしい、とだけ…。
「リボルバーリリー」に似てるのか?

開始5分……これはやばい映画だ…!
絵作りが独特。
登場人物たちは皆、浮世離れした雰囲気で
彼らの会話もどこかかみ合わない。
不思議なストーリー。
退屈かと言われればそうでもなく、自然と引き込まれていきます。
おそらくあらゆる場面に比喩表現があるのでしょう。

そして主役、綾瀬はるかさんのSK-Ⅱパワー!
顔のハリツヤがすばらしい!!

鑑賞後に知ったのですが監督の前作がすごい映画だったそうで。
この映画にも相通じるものがあるとか。

西日本(兵庫、鳥取)が舞台なので会話は(大きな意味で)関西弁です。
なんか投げやりでぶっきらぼうでいいかげんな感じ。
でもそれがまたいい味を出している。

先にも書きましたが、メタファーだらけの映像なんでしょうね。
読み解けない表現がありすぎて難解な映画なんでしょうが
つまらないわけでは決してなく、十分満足感のある映画でした。

たぶん、映画の主人公、中井のり子(綾瀬はるか)はこれまで
生きてて「楽しい」とはあまり思ってこなかった人物なんじゃないか?
と、同時に「辛い」とも思わなかった。
人に合わせて生きるのが苦手で、そのためマイペースで生きる自由人のように思われている。
しかし、映画冒頭でいきなり「余命宣言」のようなことになってしまいます。
劇中、綾瀬はるかは何度も喫煙しますが、頭痛を一時的に抑える喫煙なんじゃないか?

もう一人の主人公、木村ハルもまたマイペースで生きる自由人な印象。
しかし、中井のり子(綾瀬はるか)と同じ夢(悪夢)を見るらしく、やはり心に不安や恐怖を抱いているのでしょう。

ある意味、似た者同士の二人が出会って化学反応を起こしました。
二人の旅の本来の目的からすると、あの結果はあまり意味がなかったようですが、それ以上に二人にとっては十分意味があった的なエンディングなんでしょうかね?

「山」、「森」、「生」、「死」、「心」
古来、仏教寺院が山中にあるのは神様に近い場所だから、という意味もあります。
山は「生」と「死」が交錯する、この世とあの世のはざまです。
中井のり子(綾瀬はるか)は山中で軽く遭難。季節が悪いと死にます。
じいじはかなり怪しいし、高良健吾親子もひょっとしたらすでに……。

私自身、仏教“的”な思想が好きなので、この映画での二人、中井のり子(綾瀬はるか)と木村ハルの「縁」を感じてしまいます。
出会うべくして出会った。中井のり子(綾瀬はるか)が病気になった(?)ことも、木村ハルの新しいお母さんとの生活もすべて二人が出会うことに繋がっているのです。

私は鑑賞した映画のパンフレットを必ず買うわけではありません。
その時の気分で買う、買わないという人間ですが、この映画のパンフレット「ルート29オフィシャルプログラム」は買ってよかったと思う一品でした。
売店にて。1100円。高い…でもぶ厚い……。
鑑賞後、読んでみると……買ってよかった…!

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