0057.金田一耕助
週刊TVガイドという雑誌を読んでいると、「三つ首塔」という新しく始まるドラマの特集が組まれていた。あらすじと登場人物の相関図が載っていた。殺人事件が起こる内容らしいが、なぜか、犯人に見当がついてしまった。なので、結果を確かめるべく「三つ首塔」を観た。1時間のドラマが 4週分だった。すると、見当を付けた登場人物が犯人だった。俺が中学生のころの話である。
その「三つ首塔」が終了しても、次も探偵金田一耕助を主人公としたドラマが放送され、全部観た。それが「横溝正史シリーズ」である。1976年の映画「犬神家の一族」がヒットしたことにより、横溝正史作の金田一耕助ものがドラマ化されて、TBS 系列で放送されたのだ。
横溝正史シリーズⅠ(1977年)
犬神家の一族
本陣殺人事件
三つ首塔
悪魔が来りて笛を吹く
獄門島
悪魔の手毬唄
横溝正史シリーズⅡ(1978年)
八つ墓村
真珠郎
仮面舞踏会
不死蝶
夜歩く
女王蜂
黒猫亭事件
仮面劇場
迷路荘の惨劇
確かに、映画「犬神家の一族」のテレビCM はなんとなく覚えているが、当時興味はなかった。しかし、テレビドラマの「横溝正史シリーズ」を観て、その原作の小説を読んでみたくなった。小説ってどこに売っているんだろうと思った。マンガが好きで本屋さんでマンガの単行本は買っていたが、小説がどこに売っているかを知らなかった。
小説は、ウェルズの「宇宙戦争」や、ウィンダムの「トリフィド時代」を学校の図書室の書架にあるのを昼休みに読んでいたが、小説を自分で買えるとは思っていなかった。同じクラスにやけに本に詳しいやつがいたので、そいつに小説はどこで売ってるんだと訊いた。すると本屋で売っているよといって、自分の家の近所の本屋に連れていってくれた。
そこは、文房具屋と本屋の兼業みたいな、おじさんがひとりでやっている小さな本屋だった。俺がマンガの単行本を買っていた本屋と同じような本屋だった。そして、横溝正史の著作が、金田一耕助ものがズラッと並んでいた。俺は TBS に手紙を書いて「金田一耕助物の原作は、どこで手に入れたらいいですか」と訊くつもりでいたので、歓喜した。
横溝正史の金田一耕助ものは、物語の時系列に沿って出版されていない。背表紙のナンバリングは、飽くまでも角川文庫で出版された順である。俺は一番最初に角川文庫で出版された「八つ墓村」を、その原沢久遠堂で購入した。そして、ひと晩で読んでしまった。面白かった。次々と金田一耕助物を買って読んだ。
そして、いま…
スマートフォンって、せっかく携帯しているんだから、もっと他に使いみちないかなと思っている。むろん、Kindle をインストールして、小説も読んだ。スクリーンの大きさからいって、マンガや映画はキツい。小説なら何とか読める。なので、谷甲州の「パンドラ」1巻~4巻の Kindle本は、iPhone 13 mini で読んだ。吉川英治の「新 平家物語」「私本太平記」の Kindle本も読んでみたが、読み切れなくて投げ出した。
なので、藤沢周平「用心棒日月抄」の Kindle本を購入しようとして、紙の本を持っているのでやめた。横溝正史の「八つ墓村」も、紙の本は持っているけれど、Kindle本を購入した。今日、 NHKBS で放送された豊川悦司が金田一耕助に扮する映画「八つ墓村」を、意図せず録画した。なので、それを観る前に、Kindle本「八つ墓村」を iPhone 13 mini で読んでおこうと考えた。
でも、やっぱり小さい、iPad Air で読むほうが楽だね。
柳 秀三