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ひな人形の選び方 ~京都・大阪の6軒のお店を訪ねてわかったこと
雛人形買うのかどうか問題、
買う!ときめた方の参考にすこしでもなれば、、
人形店を実際に見て回ったから聞けた、知れた、あれこれを書いてみます。
ネットショッピングばかりになりがち、リアルショッピングでは接客されるのが苦手なわたしですが、買い物っておもしろいなあとも思う体験でした。
通過儀礼だからとりあえず買う、ではお金も時間ももったいない。なにより、行かなければ知らない情報、見えない景色、体験がそこにはありました・・
1.実店舗をまずは訪ねる!
「雛人形、買う!」と決めたら、まずは「人形店」へ!
餅は餅屋に任せるとよくいったもので、ECモール疲れしている私にとっては専門店の店員の方からきく説明はとても頭に入りやすい。
ネットショッピングで悩みになやんでめっちゃ時間溶けてることありませんか?店舗に行く方がよっぽど効率よく検討できたと思います!とくにひな人形という、非日常の品物。
店では、プロがひなまつりはなんぞや、だったり、何をポイントに検討すればいいか、など教えてくれる。(聞かないと教えてくれない店もあるので、どんどん質問!もちろん相手は商売なのでこの人なんでもいいんだなと足元を見られないように、笑 どういう風に飾りたいなどは考えてからいくこと!)
2.人形店の違い
人形店は2パターンあります。
1.販売店
さまざまな作り手の人形を販売
2.製造店
その店で製造し、直売をしている。自前の工房と職人を持っている。
要は、、、
ダイソン掃除機をビックカメラでかうのか、ダイソンのショップで買うのかの違いのイメージです。笑
どちらを訪ねてもいいですし、
ビックカメラ先いったほうがいろいろ比較できていいと思いますが、
個人的には、製造店 → 販売店 の順にいくと
一つの専門店でピンキリをまず見た方が、人形のことがよりわかって選びやすくなる気がします◎何事もピンをみたいタイプなので・・・
3.ひな人形の作り方「リカちゃん」か「ドラえもん」か
え、なにいってるの・・・て思いますよね。
店で聞くのが一番ではあるが、せっかく6軒も行脚したので自分なりの人形タイプの解説を。笑
ひな人形の分類は制作手順で異なる、
①着付けされているリカちゃんタイプ。一般的なひな人形。
パーツごとに分業で制作されていて。最終的に着付けを行った着付け師が作者名となる。
例えば、製造店A店と、B店、同じ顔で、衣装の作り込み、着付け方が異なる人形が存在する。それが個性になり、各店の職人名で販売される。
同じリカちゃん人形でも、着つけるのが、無名のスタイリストか、超有名スタイリストかで、ブランド価値が大きくかわるということ。
②着付けされていないドラえもんタイプ。一刀彫や木目込み、陶器や布製。
完成形を鋳型や木彫り陶器で造形。こちらは分業ではなく、一体の人形を一人の職人が作る。
個人的にはこの制作の違いを知っただけでも、おもしろいなあ・・・と。
着付け人形は分業のため、それぞれに一級品を求めて組み合わせれば贅を尽くしたとんでもない人形が出来上がるということ。たとえば西陣織の着物に、純金箔の屏風、輪島手塗のお道具、などなど・・・
人形がかつての贈答品だった意味がよくわかりました。
訪問したお店のHPでは、旧財閥のお家で結婚記念にあつらえたひな人形が紹介されていました。
「あなたのためにこれだけ贅を尽くした美術品を用意しました」ということだったのでしょう。
3.訪問した人形店
さて本題、実際に訪問した人形店がこちら。
①販売店:大阪松屋町 天明館
事前にネットで検索して一目ぼれした石川潤平工房のひな人形をみたくて訪問。関西で唯一取り扱っているお店。
アットホームな雰囲気で、電話口でも「かわいいお人形たちたくさんいますので、ぜひおいでください!」、と温かく案内してくださいました。
世の中のマニュアル対応になれすぎて、こういう生身の人間の言葉をきいただけでじーんとしてします。店内も広々と、さまざまなタイプの人形があり、ぼんぼりや屏風の付属品のレパートリーがすごい!住宅事情に合わせていろいろと提案してくださいました。
②販売店:京都 大丸
年々縮小されつつあるらしいひな人形売り場。さすが老舗百貨店、単品での男雛 女雛の取り扱いも多く、意外と幅広い価格帯で選択肢がありました。そうなんです、個別に雛をえらんで組み合わせることも本来はできるんです。
飾る予定のスペースを伝えると、売り場の担当者の方がメジャーを展示商品に沿えて「写真をとって検討してください」との提案。価格差がある商品を「この屏風は発泡スチロールに金紙、一方こちらは手書きで金箔仕様」と明快に違いも説明してくださった・・・!
③販売店:京都 田中彌
京都四条通に面したショーケースからたくさんの人形たちが並ぶ、ぱっとみただけで歴史を感じる老舗人形店。
二階にひな人形が一斉に並べられていて、一刀彫や木目込みも。
個人的には、売り場にくす玉飾りがあったのが印象的。
古代のひなまつりはこどもが健康に成人できるよう厄除けの意味のある節句だったためくす玉をかざって邪気を払うという習わしだった。
あのくす玉、つまみ細工なんだろうか。場をパッと明るくする華やかさがあった。こうした設えがさすが京都の老舗、と感じる。
④製造店:京都 丸平大木人形店
旧財閥、皇室にもゆかりの深い歴史と技術の人形店。興味のある方はぜひ検索してみてください。人形に縁がない私でも、みるだけで圧倒される美術品クラスの人形たち。意外なのが、こういうお店すべてお高いんでしょう・・・と思うけど、手が出しやすいものもあり。衣装が手織り、もう作れない職人が編んだ畳、塗りの敷物となってくればもちろんそれなりのお値段ですが、そうでなければ値段もまたしかり。
聞けば消えゆく技術が多い伝統工芸の世界。手織りのおひな様の衣装はもう作れない、といった話がたくさん・・・、寂しい気持ちにもなりました。
⑤製造店:京都 大橋一峰
京都迎賓館にも収蔵されているこちらのひな人形。
工房が隣接されていて、店内には製造過程の映像や、頭(かしら)を入れる前の人形!で工程を明解に展示してある。狭いスペースで飾るために折り畳み式の台や、毛氈でくるんだパネルの活用まで提案してもらった。HPを見ると、思い入れのある生地などで人形の衣装をつくることもできます。と。
自分や親の着物でひな人形衣装を作るなんて素敵ですよね。
⑥製造店:京都 田中人形
4階建、訪問したお店の中では一番の取り揃えの数でした。販売員の方も丁寧に衣装の違いや、雛人形はそもそも一人の女の子の一生を守るものである、といった起源も教えてくださった。何より印象的だったのが、お店に車のキーを預けていて、退店時に返却してもらったのだが、その際にキーが切手盆に載せられていた。さすが人形店、壊れやすいものを丁寧に扱う仕事の日常の片鱗が見えて、背筋も伸び、一瞬の出来事でこんなにおもてなしを感じるのかと感心した。
4.結局なにがわかった?
大事なのは飾り続けること
ピンキリいろいろみると、ふと、一番いいやつかったほうがいいんじゃ・・・という錯覚に陥る。だがしかし、私は、今回は、毎年の節句をたのしく過ごすことが目的なので、人形は、かわいくて自分が気に入っていて、出し入れしやすいものにしよう。と決めた。
具体的には、人形をだして、ひな祭りの食事とお菓子位たべて、片づける、ぐらいがひととおりできそうなもの にしようと思ったのです。
なので男雛と女雛と油灯を一対。
私は、実家に着付け人形があるので、別のタイプがよいなとおもい、
御所人形のようなあかちゃんボディの石川潤平工房の木目込み人形にすることに。5か月の娘にそっくりなんです。 石川佳正 作. 幼二頭身(おさなにとうしん)という作品です。
きっかけはマックスマーラーのコート
で、余談ですが どうやってみつけたのか。
始まりはマックスマーラーのテディコート。笑
コートが気になり、検索していたときに、自分と近い身長で着用している方のインスタへ飛んだところ、その方の過去の投稿に、石川潤平工房の「五月人形」の写真が。なんとなく、一つ趣味があえば、他も好みが似ているのでは、、、と思ったのもあり、工房のサイトへいくと大当たり!
こどもの顔したひな人形がおぼこ雛と呼ぶと知り、そこから、毎日 石川潤平とおぼこ雛をグーグル検索する日々。笑
最終的に、石川佳正 作. 幼二頭身(おさなにとうしん)に決まりました。
節句が大事にされていた理由がわかった
石川潤平工房は、埼玉に工房があり取り扱いがあるお店も、一番西で名古屋までがネットででる情報。はて、、人形といえば松屋町・・・と思い、電話で問い合わせしてやっとの実物とのご対面でした。
対面にいたるまでいろんな話をきいて人形をつくる大変さや、ひな祭りの由緒。日本の昔からの文化の一端を感じました。配送着日は大安の中から指定。天明館さんからは粗品として、暦帳をいただきました。これからの節句行事としてのひなまつり、大事にしたいなという気持ちにさせてもらいました。これが、こんかいひな人形をさがして何よりよかったなと思います。
5.みなさま、よい旅を・・・
子育て中は日々の生活でとりあえずいっぱいだから節句行事はどうでもよい!というのもアリとおもいます。節句は毎年やってくるので、いつでもできる。紙コップでオリジナルにペイントして、DIYで作るっていうのもアリ。スタイルはそれぞれ。本来雛人形って、人の形にきりとった紙に無病息災を願って川に流したんですから、むしろオリジナルに近い形かも。
もし、買うならば、最初こそ腰は重いですが、見つけるまでの時間もちょっとした旅行気分で、いい思い出になると思います。
ノートを書き始めて二週目、ぜひあたたかいコメントもいただけたら嬉しいです!