宗教や信仰についての雑記 #302
◯デフォルト・モード・ネットワーク
先日、脳のデフォルト・モード・ネットワークについての話を聞きました。
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とは、私たちが特に何か具体的なことを考えたり、作業をしたりしていない時、つまり「ぼーっとしている時」に活発になる脳のネットワークのことだそうです。
この DMNは、観察瞑想中、白日夢を見ている時、過去の出来事を思い出している時、将来のことを考えている時、リラックスしている時といったような状態で活発になるとのことです。
そしてDMNの働きには、自己意識の形成、記憶の統合、社会性や創造性の涵養といったことが挙げられています。
また、DMNの働きは心の健康とも深く結びついているようで、うつ病患者では、DMNの活動が過剰になる傾向があることや、アルツハイマー病の進行に伴いDMNの機能が低下することが知られています。
こうして観るとDMNとは、喩えて言えば、畑での収穫作業の手を一旦止めて、収穫物を整理し選別する作業のようなものなのかもしれません。
それはまた、意識の自己形成・自己組織化の過程でもあるように思います。
さらに言えば、この宇宙全体が自己形成・自己組織化するシステムであるとしたならば、人間がそのサブシステムとしての役割を果たすための準備とみなすこともできるでしょう。
宗教的な観点から言えば、DMNとは、神仏の言葉で語りかけられたメッセージを、人間の言葉に翻訳して解釈する作業ともみなせるかもしれません。
誰もが常に忙しくしている現代の社会においては、ただ「ぼーっとしている時」とは無駄なこととか、時間の浪費に過ぎないとか見られてしまいがちですが、そんな時間も非常に重要で必要なものであることを、普段から忘れないようにしたいと思います。