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宗教や信仰についての雑記 #233

◯救い

今回は、オートポイエーシス・システムとしての超越者と、宗教的な救いについて考えてみたいと思います。

一般に、宗教は世俗的な価値観から離れることで、個人が自己を再定義する機会を提供するとされています。そして、超越者との関係性の中で自己を規定し、生きる意味を見出すための枠組みを提示します。苦しむ者や恵まれない者は、この枠組みを通して自己の存在価値を再確認し、生きる希望を見出すことができると言われています。
また、宗教的な共同体は、互いに支え合い、所属感を与えることで、個人の孤立を防ぎます。そして、医療や福祉といった世俗的な支援と相補的に機能すると考えられているようです。
さらに宗教は、個人の内的変化を促すと同時に、伝統や教義という安定した構造を提供します。この変化と安定のバランスが、個人の成長と心の平穏をもたらすとも観られているようです。

上記の、世俗的な価値観から離れることで、個人が自己を再定義する機会を提供するということは、換言すれば、人が自らがより大きなシステムのサブシステムであることに気付けるような、俯瞰的な視点を得ることでもあると思います。

そしてシステムの観点から考えると、苦しむものや恵まれない者とは、ある特定のサブシステムが暴走することによって、自律的な活動による自己組織化を阻害されたサブシステムのことのようにも思えます。

物質や情報の遮断から、より上位のシステムから疎外されてしまった、あるいは疎外されたと感じてしまった状態。そのようなサブシステムとして機能不全に陥った者を、再び上位のシステムに結びつけること。それが「救い」のひとつの形でもあると思います。
そのことが、宗教がreligion(再び結びつける、強く結びつける)と呼ばれる所以なのかもしれません。

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