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宗教や信仰についての雑記 #255

◯トランスサイエンス的な問題

近年、トランスサイエンスという言葉をしばしば耳にします。

トランスサイエンスとは、科学的な方法だけでは答えが出せず、価値観や社会的な合意といった非科学的な要素も深く関わってくるような問題のことを指します。気候変動や原子力発電、ゲノム編集や生成AIなど、現代社会が直面する多くの複雑な問題が、このトランスサイエンス的な問題に該当します。

そのような問題の解決には、人々の価値観が大きな要素となります。それに対して宗教はどのように関わるでしょうか。
宗教は、善悪の判断基準や人生の意味、あるいは心の平安といった、普遍的な価値観を提供してきました。トランスサイエンス的な問題は、科学的な事実だけでなく、こうした価値観に基づいた判断を必要とするため、宗教が関わる余地が大きいと言えるでしょう。

その価値観の背景には、人々が宗教に求めたのは、ある特定の世界観の中で自分を位置づけることであったということがあります。
そのように自分を位置づけることにより、人々は心の平安や生きる意味や、善悪の判断基準を得ることができたのだと思います。

つまりこのような問題の解決には、ある世界観、このような世界であってほしいというビジョンを明確に持つことが肝要になってくると思います。
宗教はそのビジョンの土台を提供できるのではないでしょうか。

現代のトランスサイエンス的な問題に対して宗教は、自らの教義を元に上から目線で説教するのではなく、議論のたたき台を示すという役割に徹したほうが、より社会に受け入れられやすいのではないかと思います。

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