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宗教や信仰についての雑記 #338

◯現代の宗教の在り方について

前回、現代社会の中での宗教への向き合い方や宗教の在り方を考えるために、宗教依存からの回復支援についても考える必要があるのでしょう、と書きました。
そこで今回は、宗教依存からの回復支援を通して見た、現代の宗教の在り方について考えてみたいと思います。

宗教依存からの回復支援では、精神科医や臨床心理士などの専門家による治療やカウンセリング、宗教者による宗教的な教育や、個人の信仰と心の健康のバランスのサポート、自助グループのメンバーによるサポート、などが行われるそうです。
そして、回復には時間がかかるため、根気強く続けることが大切とのことす。

そして、現代の宗教の在り方については、大きく分けて以下の3つの側面があると考えられます。

  1. 宗教の健全性と透明性
    ・過度な献金など依存を促す宗教活動の抑制
    ・財務状況などの情報の開示と透明性の確保
    ・異なる宗教や信仰など多様な価値観への寛容

  2. 個人の尊厳と主体性の尊重
    ・信者の自律性の支援と尊重
    ・心の健康への配慮
    ・個人の自由と多様な生き方の尊重

3.社会との共生と貢献
・ボランティア活動など社会との連携強化
・多様な価値観を持つ開かれた社会の実現

以上の事柄をさらにまとめると、そこには、
・多様性、寛容、共生、開放性、透明性、社会性
・個人の尊厳、自立性、自由、主体性、健康
といった、集団的要素と個人的要素の2つの側面があるように見えます。
その2つの側面から突き詰めて言えば、「個人」と「社会」との両者への協調、ということになるのでしょうか。

宗教評論家の故ひろさちや氏は、健全な宗教団体とそうでない宗教団体とは、退会するときの態度で見分けられると述べていました。
信者がその宗教団体を退会したいと言ったとき、すんなり退会させるのは健全な団体であるが、罰が当たるとか地獄に落ちるとか脅すようなことを言うのはそうでない団体だとのことです。
そこには価値観や世界観などの多様性を認める姿勢と、個人の意志を尊重する姿勢があるのでしょう。

しかしその一方で、個人と社会とに協調しすぎると、その宗教の教えそのものが形骸化してしまう恐れもあります。そうなれば宗教としての役割を十分に果たせなくなる可能性もあるでしょう。
ですからそれはその時と状況に応じて、そのバランスを取り続けなければならないのでしょう。
社会の状況や人の価値観は変わってゆくものです。そのことを考えれば上記の現代の宗教の在り方も、決して固定的なものではないのだと思います。
答えは常に探し続けるもの、そんな気もするのです。

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