宗教や信仰についての雑記 #186
◯オタク
最近テレビで、日本のアニメのコスプレをした外国の方々の姿を見ることがしばしばあります。
昔はアニメファンは「オタク」と呼ばれて、社会から否定的な目で見られていたのですが、今では「オタク」という呼び名に否定的な意味合いはなくなり、様々な分野で「オタク」が生まれているようです。
そしてこの「オタク」には、どうやら宗教と共通する面もあるようです。
それは、共同体と帰属意識や、独自の価値観と世界観に基づく象徴と儀式があること。また、非日常性への没入による癒しや、その特殊性の中に普遍的なメッセージが含まれるときもあること、等があるそうです。
無論、「オタク」は娯楽や自己表現を目的としていることが多く、救いや悟り、魂の成長といったことを目的とはしていないので、その点では宗教とは異なります。
また、オタクのコミュニティは緩やかなもので、宗教教団のように組織化されてはおらず、特定の権威を認めることも少ないそうです。そのような点では、既存の宗教よりも所謂スピリチュアリズムに近いかもしれません。
いずれにしても人間は、客観的な現実の中のみでは生きてゆけないもののような気がします。
人生には客観的な現実だけでなく、何かしらの物語が必要なのだと思います。
そしてその物語の様相は、時代とともに変わってゆくものなのでしょう。
かつて宗教が提供していた物語が今ではその輝きを失い、その空隙の一部をオタク文化が埋めている、そんなふうにも思えるのです。