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【ぶち当たった人生の壁】1.両親の不仲

「お母さん、泣いてるよ。ケンカはやめて」

幼かった私は、父親に対して、そんなようなことを言ったらしい。

一番古い記憶は何と問われたら、両親がやたらケンカしていた記憶が思い浮かぶ。

私の両親は、私が幼い頃から今に至るまでしょっちゅうケンカをしている。

ケンカの場面に遭遇するたび「またか…」と思うのと同時に、毎度毎度私は心がキュッとなる。

悲しいとか、怖いとか明確にどんな感情なのかは分からない。けれど、毎度毎度、早く終われと思っていたのは確かである。

母親の涙をためた目、泣きそうな声、お互いにお互いをまくしたてる声、父親の怖い顔、母親が乱暴にドアを閉める音…

ある時には、母親が家出してしまったこともあった。

子どもながら母親の精神面や身の安全を心配し、父親に悟られないよう、こっそり母親に連絡を取った。

連絡がとれ、明日には帰りますと返事が来て、ほっとして、それでもやっぱり心はキュッとしていた。

生まれてから大学卒業時に家を出るまで、何回のキュッを経験したか分からない。

家を出て、一人暮らしを始めたら、心がいくらか軽くなり、少し精神が安定した。

それから何年か経ち、私には子どもが生まれた。

「お母さん、泣いてるよ。ケンカはやめて」

そんなふうに息子に言わせないためにも、夫とのケンカはLINEで完結することが多いように思う。

それ自体が良いか悪いかは置いておいて、息子の心がキュッとしないように生きていきたいものである。


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