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ぼくの人生で唯一、正しくセフレだったR子さんへ捧ぐ(その22 Interrude〜間奏あるいは感想戦〜①)
※今回からの「 Interrude〜間奏あるいは感想戦」編は、ぼくにとっての「AI棒」ことImage FX師匠に、気まぐれにイラストほか画像作成を依頼してみます。
実際のR子とぼくの見た目とはかなり違う時もありますが、そこはそれ……(身バレ対策的にもアリかなぁと)。
今回のR子さんイラストは、フキダシで何か言葉を喋っているのと(何でしょうね?)、目線の向かう先が下腹部方面なところがツボで。
ちなみにぼくこと山本蛇内も、こんな系統のルックスじゃない(『違う、そう蛇内』)。
ただうっかり誤爆後の、賢者感50%+茫然自失感50%=やらかした自身へのチベスナ感100%、それがめっちゃ醸し出されてるナイス表情がやってきましたんで、採用しましたよ!
「うん……うん」
ぼくは答えた。
(『入れたい』)
ぼくが勝手に思っていたのとまさに同じように、明確にそれを意思表示してきたR子にではなく。
彼女のその欲情を台無しにしてしまった自分へと、言い聞かせるように、ぼくは言葉を発し、頷いていた。そして、
(落ち着けっ……、落ち着くんだっ…………‼︎‼︎)、
と、窮地に陥ったカイジばりに内心で繰り返す。
これまでしてきた、しでかしてきた、ド級のやらかし。
幼少期、青年期、社会に出て仕事で、あるいは家庭生活で……
だが、なんだって、何度だって、切り抜けてきたじゃないか……っ!
素早く出した結論。
結局ここも正直一択、誠実一択しかないだろ。
ワシントンるしかない……っ!
(まあちなみに、ジョージ・ワシントン初代アメリカ大統領の「木を伐ったことを正直に父に伝えて赦しを得る」エピソードって、彼の死後にライターが盛った、というか吹聴した勝手追記フィクションだったらしいんですけれどねー。f^_^;)
Wik「iジョージ・ワシントン」〜「個人として」〜「桜の樹」の伝説」より
(ところで……「桜の樹」→「桜樹」→「桜樹ルイ」と自動脳内変換されちまう、そんな世代にぼくは属している。だがそれはまた別の話。)
「R子ごめんほんと」、体を起こし、ベッドの上の方へ這っていき、横になる彼女の隣に一緒に並んだ。
「えっえっ、なになになに……」、彼女が不安げな声で囁く。
「実は……、出ちゃい……」、
そしてぼくは情けなさ1000%な心境で、件の状況を説明すると……、
「まっ!まぁぁー?
もーっ!まっじ、うける!!!」
R子が爆笑をはじめる(ちょっとおさまる最後の引き笑い、さんまっぽかった)。
ぼくの中に、安堵感が急に濃く、染み入っていく。
「いやほんごめん、アホすぎ」、言いつつぼくは手を合わす。
「ほんとだよーアホすぎ!」、言いながらR子はぼくの手の合掌を解いて、両手を絡め、身を寄せてくる。
「かわいいやつだー!」、と言うので、
「かわいいおじさん?」、とぼくが返すと、
「おじさん発言は、もうアウトで」、言って、ぼくを腕の中に包む。
「なんて言うんだっけ、ああ、『ういやつ』だ。
蛇内くん、きみはねぇほんとに……、ういやつ……」
頭の後ろの毛を撫でてくれる。
ぼくも、なんとはなしにR子の乳房に手を当て、エロじゃない気持ちで、静かに大きくひたすらローリングする。
目が合う。微笑み合う。
“R子は、こうやっていま、ぼくを守ってくれてる……“
ぼくの中に、安堵感の次には、甘い満足感が広がっていく。
いま、ベッドの中で、お互いの存在を認め合っている。
当時、その言葉は知らなかったけど。
会って過ごしていた時間、ぼくたちは互いに、「心理的安全性」を交換し合っていたように思う。
セックスしていない時間にも、一貫してそうだったはず。
そうぼくは思う。
だから……
(ぼくも、守ってあげたい)、
プレゼントを渡したくなる。
だがそれはここでは、物ではない。
プレゼントというには、振り返って思えば我ながらおこがましいのだけど……。
ぼくは言う。
「泊まっていこ?」、
わかっていた。
R子がコンビニでメイク落とし液を買った意味。
今夜の過ごし方希望の提出。提示。
ぼくへの暗喩的メッセージ。
ほんと悪い奴すぎるけど、妻にはアリバイ工作できるよう、準備はしていた。
海鮮居酒屋で、トイレからLINEを送っていた。
「Oの取材先が立川で、まだ会えてない。
また、飲んでからカラオケからのネカフェかも。。」
今夜、泊まりで帰宅しないことを示唆し、事前了承を得るもの。
で、返事は得ていた。
悪友のOとの口裏合わせ……!
ぼくのアンチモラリスティックな行動に、欠くべからざるもの。
Oとは互いに、アリバイ密約を結んでいる。
Oは地元のメディア関係で働いていて、取材で東京圏に来る事実は確かにある。
アリバイ工作は、これを最大限利用したものとなる。
一緒に飲んでいないのに、「今Oと(彼にすれば、ぼくと)飲んでる」ってテイにするとか。
仕事で東京来てないのに、「東京来たOと飲んでて、酔っぱらいすぎてもう彼のホテルの部屋に泊まるわ」、ってことにするとか。
あるいは本州の北方面への出張時なら、「家に泊まる−−−−ただしぼくの住む○○県とOの住む「杜の都」とでは離れているが−−−−」ってなかなかの無茶を言うとか。(これは、ぼくの妻とOの妻が、知り合いだったりLINE開通していないから成立する設定だ。)
Oの性格や体質まで捏造している。彼はそこまでめっちゃカラオケ好きでもないのに、カラオケ魔という設定にしていたり、あるいはどれだけ飲んでもザルいというかビクともしないクッソ酒豪なのに「酔ってフラフラになった」ことにするとかだ。
「いいの……?お家とか」
「もちろん、へいき」、
だって一緒にいたいよ、の言葉は続けず飲み込んだ。
場が甘になりすぎるなと、バランス取ろうと。
「わーい、やったぁ!」
その言葉に、胸に抱かれるぼくは、思わず彼女を寝ながら、見上げる。
R子の唇がニッと上がり、ぼくの髪にキスをしてくれる。
ところで、このときに。
R子が発した『わーい、やったぁ!』の響き。
いまもずっと、ぼくの中に残りつづけて、消えてくれない。
まぁ、消すつもりもないかな。
「あのね、そしたら、ちょっとぼぼーっとしたら、そのあと、お風呂一緒に入ろ?」、
R子が快活に言う。
「うんうんうん!」、ぼくが頷く。
「もうね、めっちゃ、気持ちよかった」、R子はぼくの腕にポンと手を置く。
「えー、うれし」
「うまいっすねー?」
「いやそんなことない」、ぼくは敢えてその時は乳房のローリングをやめて、真面目な雰囲気を出してきて続ける、「これは相性の問題だよー」。
伝えた通り、もうほんと相性の問題だろうと、ぼくは信じてる。
世の中にはソフトタッチが嫌い、ガシマンの方が感じると言う女性もきっといるはずだし、様子見ソフトリー戦術じゃなくいきなりガシる男がむしろ正解、ってこともあり得るだろうから。
たまたま、R子が欲する触り方と,ぼくの自然なそれが合った。
「嬉し」、
彼女の顔がぼくの顔に近づいて、ぼくたちはキスをする。
ボヴュッ!
の不意打ちを喰らった直後は
(あーオワタ……!!)
と思って、そこからいまわずか2、3分しか経っていないけど、もう状況も心境もぜんぜん、いい方安心できる方に、動いている。
むしろ、ぼくの好きな時間だ。
若い頃と違って、SEXには少しばかり行為感、使命感のようなものが、付帯するようになっている。
でも、こうやってベッドで一緒にくっついている時間は、いつまでたってもずっと、掛け値なしに無条件に、大好きだ。
こういう時間を求めて、ぼくは生きているのかもしれない。
大げさに響くけれど、きっとそういうことなのかもしれない。
(つづく)
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