本が頼りだった7 失われた時を求めて
「失われた時を求めて」
マルセル・プルースト 新潮社、ちくま文庫、集英社
学校の図書館で
新潮社刊の「失われた時を求めて」の第一巻を手にしたとき
(どうしてかわからないのだけれど)
自分の知りたかったことの答えが
この本に書いてあると確信しました。
何度か借りて
読もうとしましたが
読み進むうちに迷子になってしまうようで
読み通すことができませんでした。
いつか手に入れて
じっくり読もうと決めて、いったん離れることにしました。
その「いつか」が十年後に訪れて、
ゆっくり楽しむことができるようになりました。
翻訳も何種類か出たり、
研究書もポツポツ手にいれることが出来て
18歳の私が「確信した」ものを味わうようになりました。
この本を手にすると
私はするりと物語の中に滑り込んでしまいます。
そして、それが夢だったのか現実だったのか
本の中のことなのか
見境がつかなくなるほどリアルな体験をします。
本を読んでいるという感覚もなくなってしまうのです。
そして、読むたびに違う自分とめぐりあうような気がするのです。
こんな本には二度と出合えないような気がします。