![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169889707/rectangle_large_type_2_5b2d03a6edb4e6096536a81574fb875b.jpeg?width=1200)
龍の住む沼で
胸の中に、暗い緑色の水をたたえた
深くて小さな沼がある。
あなたとむつみあう
やわらかな吐息………
目をとじて
わたくしは暗い沼をみている。
![](https://assets.st-note.com/img/1736751795-8MPaUVXTGHAmxfkhOzip5BL4.jpg?width=1200)
沼には白い龍と女がいる。
しばらくすると龍は、
あくびでもするように翼を広げ、
ふと空を見上げ、飛翔をはじめる。
あえぎながら、龍と女を見ている……..。
女は、龍に向かって手を伸ばす。空を見上げ、
引き裂くような叫びをあげ、龍を呼ぶ。
龍は舞い降り、女はさらわれていく。
わたくしも、たかく、たかく、飛翔して
わたくしという殻が霧散して、
ただのゆれるたましいに、なりはてる。
深い小さな沼に、
揺れるシダ類の葉が、映っている。
あなたとよりそう夜に、龍が舞い降りる。
![](https://assets.st-note.com/img/1736752761-ZO3xAPh8FnzpuVY1RJgeIoKw.jpg?width=1200)