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目分量はあやふやなのに

自分の価値観を物差しに例えて
友人と話をしたことがあります
友人は、フリーランスのライターでオートバイの仲間でした
頭が良くて何を話しても楽しい人で素敵なひと

その時、どんな話の転がり方だったのかは
よく覚えていないんですけど.…




あんたのみたいな物差しで測られたんじゃたまりません

なによ、それ

ボクは知ってます

聞きます聞きます

普通の人は30センチの物差しを持って生きています
目盛りなんて適当で、1センチ刻みの目盛りだって
薄れて消えかかってたりしても平気でまぁまぁ生きています

うっそ~

そんなもんです
或いは10センチの玩具みたいな物差しでも
結構生きているかもしれない

そんで、あんたの物差しはどんなよ

きっちり30センチです
長くも短くもない

もう少し長くてもいいんじゃないの?謙遜してる?

いーえ、きっぱり30センチ
目盛りには自信があります
ボクの常識と冷静さはこの目盛りに由来するのです

ふ~ん....んで、私の物差しはどうなのよ

あんた、自分で知らないんですか?気付かないんですか?

へ?

へ?ではありません
凄まじい長さです
収納のためとぐろ巻いています

は?

目盛りなんて凄まじい刻み目です

?????

ボクは何度も目撃しています

なに見たんだ~

あんたが初めてのモノに遭遇した瞬間に物差しをビャ~っと

ビャ~っと!

ソウです
一瞬のうちに引き出して
アッというまに目盛りを刻み付けるのを

?????

ボクは恐ろしい
そんな感受性をマナで持ち歩いていられるなんて信じたくない
でも、ほんとなんだから、仕方ない

チョット、人を化け物みたいにいわないでよ

ゲッ、あんた、普通のつもりだったわけ?

いや、普通かどうかはわかんないけど
他の皆様とはちょっと変わってるとこがあるかもって
思うときもあるけど...

普通ではありません きっぱり

はぁぁぁぁぁ、とぐろ巻いている..…

巻いてます巻いてます

.....…頭痛くなってきた

自分で気付いていないってのは凄いですね

う~~~~~~ん
生きるのが辛いわけがやっとわかったような気がする

そうでしょう、そうでしょう

あたしはどうすりゃいいの?

へ、そんなこと知ったことですか
自分の持ち物じゃないですか

確かにそうかも知れないけど、化け物じみてない?

それほど悪くはないんじゃないですか
普通じゃないってだけで


.........

少しショックだったので
肉親のような付き合いをしている女の子にこの話をしました


自分で気付いていないってのは凄いと思う
などと言い出して、付け加えてくれました

人は普通、ちっちゃい魂の上に
人の皮かなんかかぶって生きてると思うんだけど
お姉さん、魂100%だよね
そんなレアな姿で良く生きてるな
タフだなっていつも感心しているんだよ

た、たましい..…100%..…

そ、それで私は気付かないうちに
だれかを傷つけたりしてるんだろうか

それは..…どうだろう....…
お姉さんは基本的に
ひとを振り回そうとか
思い通りにしてやろうとか思ってないでしょ


以来、恐ろしいので、この手の話はしないことにしました
自分のことを人がどう思っているのかは
気になるけれど、気にしないでおこう...…

ものごとの受け止め方とかそんなことは
ひとそれぞれだし
私から見ると
誰もがみんな切実な思いを抱いて生きていると思うし


ただ、実際問題として
私、目分量というのが実にあやふやでありまして
タティングレースなどしていて
手元の糸の長さを5mmとか7mmとかを
目測で安定的に測れないんですよ

お料理のときもそう
カップ1とか大匙1とかそういうのを
大体このくらいって感じることができないの
ばらつきが大きすぎて味付けがめちゃくちゃ
何とかしようとして
汁を増やしたり調味料を足してみたり
面倒なことになったりするの

それで、タティングの時はゲージを使って一定の長さを測り
お料理のときは計量用の道具を必ず使うようになりました
自分の感覚でやっちゃおうとすると
ほんとうにあやふやでめちゃくちゃなのよ

いちいち道具を使わなきゃいけないのは面倒だけど
きちんと測りさえすれば
テキトーにやるより
真っ当な結果がでるとよくわかりました

面倒なことに慣れて
こころの目盛りは緩慢になって
そうして
私は大人になったのかな





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