投票率

投票率が上がればどうなるか?
投票率が上がれば、当選するのにより多くの得票数が必要になる。
複数定員の場合、有力候補者に投票が集中すれば、他の候補者は少ない得票数でも当選できる可能性があり得るが、固定的支持票が増えるより浮動票が増える確率は高く、結局より多くの得票が必要になる。

候補者により多くの得票数を獲得しなければならない圧力が強まる。
候補者は固定的支持票を増加させ、さらに浮動票を吸収するために、真剣な努力が必要になる。
緊張感が生まれ、学習と工夫と努力の競争が起こる。
政策を研究しそれを有権者に伝える能力が必要になる。

候補者の選別が厳しくなり、候補者の質が高くなる。
候補者の質が高くなれば、選ばれる議員の質も高くなる。
当選した議員も、次の選挙での厳しい競争を考えれば、職務に精勤し、評価が得れる結果を残す必要に迫られる。
有権者に真摯に向き合い要望に応えようとする。

官吏官僚は、議員からの圧力と一般国民からの圧力を受ける。
議員は有権者からの圧力を官吏官僚に向けるだろうし、一般国民は政治意識が強まりよりシビアに行政に対する要求を強めるだろう。
官吏官僚側からも国民市民サービスに真摯に向き合う気運が生まれるだろう。

テレビ・新聞のマスコミメディアは、投票率が上がれば、国民が政治に関心を持っていると判断する。
国民の関心に対応しようとするのが、マスコミの仕事だ。
国民の関心に背を向けることはできないし、関心事を積極的にフォローすることが仕事になり業績につながる。

一般私企業も投票率に大きく影響される。
労使関係も、労働環境も、生産設備も、原材料も、製品も、消費者は有権者であり、有権者の志向を表す投票率に敏感に対応ぜざるを得ない。
原発が良い例だろう、ダイレクトに企業の存亡に影響を与える。
企業活動は社会活動だ。

高度経済成長の時代ではない、収縮する国勢の中で、より公平により平穏により快適に国家運営を模索しなければならないこれからの時代、政治と経済は密接に関連し合い、政治の役割が大きくなる。
国民有権者が、政治にシビアに向き合うことが必要な時代になっている。

自身が属するか、あるいは支持する立候補者や政党の得票数を増やす事と、全体の投票率を引き上げる事は同じではない。
当選するために得票数を増やすことに血道を上げて来たが、結局全体の投票率は下がって来たというのが現実だ。
このパラドックスにどう向き合うか。

極端に言えば、当選することと投票率を上げることは相関しない。
当選するためには投票率が低い方が好都合なことが多い。
票が読み易いし、コントロールし易い。
候補者も政党も選挙を管理する政府も、本音の部分では低投票率を助長し放置して来たのではないだろうか。

国民有権者全体の、社会全体の視野で、投票率を考える発想が欠けていたのでないだろうか、不利益を被るのは国民なのに。 
投票率を上げないと社会全体は良くならない。
この事実に気付き、対応する動きが、一般社会人の中から生まれない限り、投票率は上がらない。

オセロゲームのように、黒から白へ、白から黒へ、簡単に一挙に反転できるものではない。
まず、全体の投票率を引き上げ、社会全体の政治能動化へのスイッチを入れ、その流れの中で与野党を逆転し政権交代を実現する。
投票率を引き上げることは市民運動でも可能だし、市民運動でないとできない。

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