夕方6時半の待ち合わせに余裕をもって家を出たので、6時を少し過ぎた頃だと思う。 信号待ちの車の窓外に、仕事帰りの人々が駅とは反対方向へ歩いていく。その中の一人に目が止まった。体に合った大きさの趣味の良いスーツ、伸びた背筋、整えられたグレイヘア。胸に抱いた白い犬。頭頂で毛を結えた、絵に描いたようなマルチーズ(シーズーかもしれない)。赤い首輪も見える。流行りのSNS漫画の登場人物のようである。 この辺りにペットショップやペットホテルは無いはずだし、さすがに犬と人間の赤ん坊を見間
土曜日の夜9時過ぎ、風呂に入ろうとタオルを用意したところで携帯電話が鳴った。 「もしもし」 「どうしたの、こんな時間に」 「どうしても、誰かに聞いてほしくて」 私は、村上春樹が言うところの『多少温かみのある壁』ということか。やれやれ。 「母の知らない一面を見てしまったの」 「ほう」 「今日の午後、母を連れてお茶をしに行ったの。焼き菓子の盛り合わせを頼んだら、レーズンサンドとダックワーズが一つずつ、あと小ぶりなマカロンが二つお皿に並んでた」 息を吸って大きく吐く音が聞こえる。
小柄な男が松ぼっくりを拾っている。笠が開きすぎているものは避け、小ぶりで形の良いものだけを選んで布袋に入れている。布袋がいっぱいになると、それを肩にかけて家に帰る。 暖炉の前に腰掛けた男は、拾ってきた松ぼっくりをひとつ、火の中に放り込む。ぱちぱち音がして、ポップコーンのような甘くて香ばしい香りがあたりを漂う。男は満足したように目を閉じ、深く息を吸い込んだ。
花をもらうととても嬉しい。もらって嬉しい物一位かもしれない。という話を友人にすると、彼女は、花なんかもらっても全然嬉しくないと言う。別に花が好きなわけではないから、と。 それだけの会話なのに、とても新鮮な気がした。お酒がとくに好きではない人に、これはどこそこの大吟醸なんですよ、と言っても喜ばれないだろうし、甘いお菓子が苦手な人も結構いる。それなのに、花は万人が喜ぶと思い込んでいたのはなぜだろう。同じような思い込みは他にもありそうだ。
小さい頃から、夢といえばほぼ悪夢だった。 青いレオタードを着た、のっぺらぼうのマネキンに追いかけられたり、突然サイレンが鳴って四方の部屋の壁が赤い光に染まったり、口を動かすたびに歯が抜ける夢の、口の中のじゃりじゃりとした生々しい感触は今でもはっきりと思い出せる。 悪夢を見なくなって半年ほど経つ。陽の光が差す広い部屋でただただ微睡んでいる夢など、今まで見たことのないジャンル(?)の夢はとても新鮮である。 夢の内容ががらりと変わった原因は、環境の変化により、未だかつてないほど
薄くもやがかかったような空を背に、五階建ての団地よりも大きいガンダムが立っていた。 団地の子どもたち(おそらく)がガンダムの方向に向かって走っていく。戦いに行くのだろう。 レゴブロックで作った剣を握って、私も行かなくてはと思った。小さな立方体のブロックを縦に細長く連結した刃が、わずかな振動でたわみ、折れないようにもういっぽうの手で押さえた。 あの白い頭のガンダムは、「良い方の」ガンダムではなかったか。何をしに来たのだろう。
休み明けに学校へ行くと、自分のクラスがどこか分からない、もしくは自分の席が分からない夢を度々見る。夢の中の私は、またこれか、と思いながらも「これは夢だ」という自覚はないようだ。もうすぐ朝のホームルームが始まってしまう、どうしよう、自分の席がどうしても思い出せない。そうしているうちに目が覚める。 この話を母にすると、私なら、どこでもいいからとにかく座る、と言った。その発想は無かった。
国語のテスト百点だった二度寝の夢
ティーフロートのアイスクリームが溶けてティーが濁ることでがっかりしない方法を考える。 ・ アイスクリームが溶け始める前に、ティーを飲み切る 初めからなかなかの名案ではないだろうか。飲み終わった後にどんな気持ちになるか非常に興味がある。 ・ バニラアイスではなく、フルーツのシャーベットを乗せる これも素晴らしいアイデアだと思う。りんごであれば溶けても色が変わらないし、カシスなら味だけではなくきれいな色の変化も期待できる。ただ、フルーツシャーベットがティーに浮くかが問題だ