FFさんと「推し活ブーム」の違和感について語らった
前提として:
私もFFさんもCD何十枚も買ったりはしないタイプ。特典会もその日一度推しに会えたらいいくらいの温度感。ループやまとめ出しとは無縁。
FFさんは私がお休み中の界隈のFCイベントの売れ行きが悪いのか良い番号が取れたのでよかったら一緒に行かないかと誘ってくれた。
そして2人で盛り上がっているうちに「推し活」のあり方に話が移って、結構有意義な会話ができたと感じたので備忘録として。
いつからかアーティストは、どんなに素晴らしいミュージシャンでも、音源だけでは食っていけなくなった。ライブはチケットで売り上げを上げきれず、グッズで黒字化している。
私たちを繋げているグループも東京の小さなハコでばかりライブをしていて、地方のファンにとって状況は厳しい。配信ありのライブをするバジェットもなさそうだ。ライブ会場に来させて、その場でしか売られないグッズを買わせたい思惑が結局のところあるのだろう。FFさんは「配信+ヨントンやれば特典会できるのに」「毎回通えない会場でやられたらファン離れもする」と嘆く。
事実、会場のキャパどんどん小さくなっている。実際に集客が減っている現状がある。
これはもう負のスパイラルで、ライブがチケット代でも赤字→バジェットがない→地方でライブやイベントができない→都内の会場でグッズ購入に特典会をつけることで収益を上げるしかない→通えないファンは来なくなる→ハコが小さくなる→ライブがチケット代でも赤字→[以下ループ]なのだ。特典会という名の数秒間のお話会のためにグッズを¥5,000〜¥10,000買ってもらうのが一番採算がいいことは想像に容易い。
原因を辿ると、
CDというメディアは古くなり、mpgデータに置き換わった。そこで「特典会商法」というCDパブリッシャーのビジネスを存続させられる一方で、(ある意味)「不必要に」大量のCDを買うことを促す方法が開発されてしまった。
「原価厨」と呼ばれる人々がいるように、企業が人件費を(悪い意味での)「コスト」扱いしているように、世の中は貧しくなって「技術」にお金を払う人が減った。
まあ、ライブハウスで「お目当ては?」と聞かれるように、「良いライブをした人」ではなく「より集客に貢献した人」にお金がいくシステムになっている時点でもともと技術にお金は払われていなかったのかもしれないが。
「応援」という名目で人に金をつぎ込む時代になった。それが推し。推しにもっと売れて欲しいから、もっと有名になって欲しいから。だからランキング上位に行けるように、特典会で会えるようにCDを積む。推しと話して、あわよくば認知されたいからグッズを買って特典会にいく。推しを「客を、お金を運んでくる人」としてアピールしたいから舞台に全通して毎回グッズを買う。テレビに出れば番組と推しのハッシュタグをつけて「視聴率を取れる、話題になる人」として宣伝すべくSNSに張り付く。
それはそれで別にいいのだけど、「過剰な応援」って健康的なんだろうかと疑問思う。
別のFFさん達が一度のライブグッズに何万円もつぎ込んで特典会チケットを握りしめている。1公演一万円以上する舞台のチケットと公演回数分の同じブロマイドを並べた写真をSNSに上げている。
自分たちが本当にそれでよくて、幸せになっているならいいのだけど、あとで「やばいw後悔したw」とか言っているのを聞くとお前、それでいいのかよと。
そういう応援の仕方は優しい推しを苦しめているんじゃないかと不安になる時がある。
何が嫌だって「推し活ブーム」によって私たちの購買意欲が作られたものだと感じること。
あ、今日新グッズの発売日だ。時間になったらアクセスして在庫切れになる前に決済終わらせなきゃ。
わあ、今度のライブグッズは¥7000で特典だ。¥7000にするにはトレカいっぱい買えば余裕かな。
もう欲しくて買ってるんじゃない。グッズがでたから、コンプしたいから、特典会参加したいから買うのであって。それらの欲求に買わされているのだ。
「自分の推し方くらい自分で決めなよ」
それはそうなんだけど、運営は商売でやっているので宣伝もうまいし、チョロオタは簡単に乗せられてしまう。
でもふと我に帰って、推し活って本当にこれでいいんだっけ?と自問する。
昔のいわゆる「オタ活」ってイラスト描いたり、ファンが集うネット掲示板で語り合ったり妄想話したり、オフ会やったり、自分たちが楽しい場を作っていた気がする。
今は推しの「供給」がないとオタクは飢えるし、会いにいけないと文句を言う。推しに与えられるものに金をつぎ込んで、それで幸せ。
とは言ってもこれを100%幸せとは言えない人は私以外にも少なからずいて、「推し活疲れた」とか言ったりする。なんていうか、一回入れ込むと全振りしなきゃいけない雰囲気がある。少し齧ったら完食しなきゃ、みたいな。ホールで食わなきゃケーキ食べたとは言わない、みたいな。コレクター気質の人も多そうだ。
「推しが好きだから」会いに行くし、曲も聞くし、グッズも買う。
「推しのため」と言う人もいるし「自分のため」と言う人もいる。しかしこの「巧妙に作られたブーム」に乗せられてると自覚するとなんだか微妙な気持ちにはなる。
今回のFCイベがあるグループは色々あってほぼ降りたようなものなのでそっちは置いといて。
私は推しの写真が上がってもよほどの仕上がりでない限りかっこいいと騒がないし、つまらんギャグをやったところでかわいいと甘やかしたりもしない。
なんで推してるのかって?
それはね、尊敬できるから。
ふとした言葉の節々に根っからの優しさを感じるから。
現実を見据えていると感じるから。
彼の言葉を聞く人全員に配慮を向けていると感じるから。
被災者で原爆差別の被害者であることに、海外で育った被差別者としてシンパシーを感じるから。
「この人のように生きたい」
そう感じるから。
OWVの本田康祐っていうんですけどね。
あ、はい、宣伝ですよ。
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