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最近ネットがつまらなくなってきた。
というか窮屈になったし、ふと、笑えなくなってしまったと感じることがある。
というか今のネットは「熱量」が強すぎる。気がする。
私は経歴上「外国人YouTuber」とか「在外邦人系YouTuber」の動画を見ることがそこそこある。すると政治的な話題を取り上げる人もいるし、センシティブな話題を取り上げる人もいる。
日本「繁殖ビザ」発行?
私と同じYouTube界隈で生息している方はご存知かもしれないが、ロケットニュース24が海外向けに発信しているSORA NEWS 24には2018年エイプリルフールネタとして「日本が繁殖ビザ発行」という記事が掲載された。
内容はタイトル通り「少子化退散にともない日本政府が日本の女性を妊娠させればビザと給付金が支給する」というものだった。
この記事を間に受けた人がいたようで、TikTokでこの記事をソースとして事実として拡散したらしかった。YouTubeでもコメディアンでインフルエンサーの方が「日本は今まで黒人に対して差別をしてきたのに、それに対して何を与えてくれるのか」という話の流れでこの話題を紹介した。
エイプリルフールと切り離された文脈で「繁殖ビザ」という言葉がネット上で拡散され、パシフィック地域に住む自称日本人TikTokerが「冗談として」投稿した「日本人は絶滅する。それが嫌なら日本人と子作りをして」「あなたが日本に来てくれなければ、私はあなたか最後にTikTokで目にするジャパニーズガールかもしれない」という動画は「繁殖ビザ」の存在を裏付けた。
「間に受けてるやつは落ち着け。これはエイプリルフールの記事だ」と呼びかけたインフルエンサーもいれば、「俺は現地に行く」といって日本で性病を土産にもらった配信者もいたようだ。
これが話の概要。
私の批判と違和感
アメリカというか、一部英語圏でこれらがジョークとして面白がられる、許容されるというのは私の勘所としては理解できるのだが、来日10年を超えて日本の価値観に染まり切った今、これは笑えない。むしろコメディアンの彼女の「積極的に黒人男性を送り込む」というジョークは女性の人権を軽視しているようにも受け取れる。正しく「産む機械」扱いである。
※大昔の話なのでご存知ない方もいるかもしれないが、2007年、柳沢労働大臣(当時)が女性を「産む機械」と表現したことで批判された。
とはいえ、ここ最近のヒートアップぶりに違和感はある。
コメディアンの非人道的な物言いに対して差別で返すのはやりすぎだし、例のTikToker韓国人説はちょっと憶測がすぎると感じる。SORA NEWS 24が記事を削除したのは適切か?と聞かれると、むしろ明確に"happy April fool’s day"記載していたのだから誤読した方が悪いし、消すほどでもないというか、消すことで逆に混乱を起こしているのではと思う。
昔は韓国を揶揄して「謝罪と賠償を要求する」と言ったものだが、近年では本気で「謝罪してください」と詰め寄る人が多い印象だ。ただの印象なので実際のところその絶対数が多いのかは知らない。
とはいえ、日本が汚名を着せられ続けてきたことは事実だし、それにより在外邦人が差別をうけることは、海外で20年暮らした私も知っている。コメディアンの彼女のように本気でアジアは「政府の検閲が厳しくて真実を知ることができない」と本気で信じている人がいる。
ウクライナやガザから第三次世界大戦が始まるのではと言われたりもしたが、私の視点では戦争はとっくに始まっている。ABCD包囲網が第二次世界大戦の前触れであったように、現代のネット社会で繰り広げられる炎上はもはや情報戦という現代の戦火と言えよう。
なんていうか、拗らせてるなと。
こういう物を次々おすすめしてくるアルゴリズムは有害なんじゃないかと。
ネットは楽しい場所ではなくなってしまったというか、笑えない人々が可視化されて集団形成した結果として、かつてのようなインターネットではなくなってしまったんだなと、自分も歳をとったんだなと身につまされる。
ネットがなくなるとは到底思わない。しかし最近の「ネット社会」を見ているとインターネットはかつての役割とは異なってきたんだなと感じざるを得ない。
Twitter(現X)と政治利用
かつての2ちゃんねる、ニコニコ動画、YouTube、ふたばちゃんねる、たぬき、Twitterが全てXに集約全体的に棲み分けができなくなってきている印象がある。
Twitterデモはそれを象徴すると思っていて、現在では一部の議員が一部の「アルファツイッタラー」とレスバするのも日常的になってきたと感じる。
日本では東日本大震災もあり、Twitterはライフライン的役割を見出されてきた。現在も情報収集はそこでやるのが最も快適と感じる。しかし「いにしえのインターネット」はもうそこにはない。
とはいえこれはインターネット老人会の1人の戯言。姿形を変えてインターネットは活用され続けるだろう。