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【超ショートショート】「ファッション障害者」など
「ファッション障害者」
洞窟に入ると、旅団は腰を屈めて進んだ。
重荷を背負う者にとって、その体勢は苛烈なものだった。
大半の者は見て見ぬふりをしたが、数人が重荷を背負う者を支えた。
すると空箱を背負って人を騙し、注目を集めたり楽をしたりする者が現れた。
皆は本当に重荷を背負う者に手が回せなくなってしまった。
「差別と区別」
「奴隷」および「障害者」と呼ばれる者がいた。
時が流れ、社会的弱者を救う気運が高まると、その者は一般人と同じように扱われるようになった。
今やその者は「奴隷」とも「障害者」とも呼ばれない。
その者は自由に表を歩く。
足を引き摺りながら一般人と同様に誰にも助けられずに。
「草臥れた専業主婦」
「さぁ歩け。馬にはそれしか能がないんだから」
飼い主が詰りながら鞭を振るう。
尻を叩かれたそれは夕日の照らす細道を再びトボトボと進む。
もはや飼い主を振り落とす気力も残っていない。
正面から旅団が歩いてきた。
飼い主は人間に乗っているのを非難されないように道を引き返した。
「社畜の仕事量」
社畜が濁流で溺れている。
原因は仕事という川の氾濫だ。
この話を聞き、事情を詳しく知らない者は呆れた。
「放水量をコントロールしないからだ。ダムを機能させないと」
事実、社畜のダムは機能していない。
しかしそれは仕事の源流の過剰な勢いによって、ダム自体が決壊しているからだ。
「正義の敵は」
ある街にヒーローがいた。
ヒーローは今まで街に襲来した数々のヴィランを倒し、街をピンチから救ってきた。
あるとき街の水源が枯渇した。
生きるために水は不可欠。
ヒーローはやむなく別の街から調達しようとした。
その街にもヒーローがおり、こう言った。
「現れたな、ヴィランめ!」
「不親切な親切」
筋骨隆々で肌の焼けた男は、チョコレート風呂の水面から顔を出すとニッと金歯を覗かせた。
「甘くて温いぞ」
筋骨隆々の男は風呂の縁にいた、瘦躯で色白の男の手を引き、無理やりチョコレート風呂の中に入れた。
痩躯の男は「苦くて熱い」と悶え、筋骨隆々の男は「大げさだ」と哄笑した。
読んでいただきありがとうございました。
乳首が光る奇病『異所性乳頭光斑』にあなたが罹りませんように。