俳優の熱って凄まじいよねっていう語り
俺たちの鬼邪高校は、俳優たちの熱っていうのはすげえんだって話をさせてほしい。
山田裕貴とHiGH&LOWシリーズの話である。
※ここからはファンの独断と偏見と自己満足の長文語りのため適切な距離をとって生温かい目で優しく読んでね。
↓この記事を書いた人↓
20代半ばオタク女子
アニメ、映画、舞台好き
好きな俳優は窪田正孝と高橋一生
好きな声優は津田健次郎
山田裕貴と鬼邪高校
山田裕貴という俳優をご存知だろうか。
朝ドラ『なつぞら』(2019)の雪次郎、大河ドラマ『どうする家康』(2023)の本田忠勝など数々の有名作品に出演しており、一度は見たことがある人も多いだろう。役柄の幅広さからカメレオン俳優として名を馳せている実力派である。
彼はもちろんデビューしたときから有名人だった訳ではない。もともとはエキストラから芸能活動をスタートしている。無名の青年が自身の熱で朝ドラ・大河俳優にまで上り詰めた。山田裕貴がどの作品から有名になっていったかは諸説あるだろうが、私はHiGH&LOWを推す。というかHiGH&LOWの話をしたい。鬼邪高校の話をしたい。させてくれ。
そもそもHiGH&LOWとは。
日本テレビとLDHがタッグを組んで立ち上げた総合エンタテイメント・プロジェクトである。ファンからの通称は”ハイロー”。シリーズとしてドラマや映画、ライブに舞台に漫画まで様々に展開している。
LDH?となった方。EXILEや三代目 J Soul Brothersなどの事務所と言えば分かるのでは。
「そっち系あんまり興味ないんだよなー………」という方もいるだろう。全然知らない方にも分かりやすいように頑張るので読んでほしい。なんなら私もハイロー見るまではHIROと岩ちゃんぐらいしか知らなかったし、LDHという事務所名も初耳だった。ちなみにLDHとはLove, Dream, Happinessの略である。ストレート過ぎんか。
ハイローは2015年の秋ドラマから全てが始まった。
Wikipediaからあらすじを引用してみよう。
ムゲンって何だとか、2人でチームと互角に渡り合う兄弟ってどういうことだとか、頭文字SWORDってご都合良過ぎないかとかそういうツッコミは我慢してほしい。
ハイローは緻密なストーリーを楽しむタイプのシリーズではない。テンションでキメるものである。
とりあえず、SWORDという5つの不良チームがあって、外からもちょっかいかけてくる連中がいるという日本にしては大変治安の悪い地域で、やけに顔の良い男たちが殴り合うお話だと理解してもらえればここでは十分である。
HiGH&LOWのキャスティング
では、自分がLDHのキャスティング担当だと思って考えてほしい。
日テレと組んで多額の予算をかけてドラマや映画やとんでもないスケールで制作するのである。誰をキャスティングしたいか。当然、自社のタレントだ。
ただ、LDHのタレントをキャスティングするには2つ課題がある。
1つ目は、演技経験の多い人間があまりいないということ。
EXILEや三代目 J Soul Brothersをイメージしてもらえば分かるが、彼らは基本的に歌手やダンサーなどのパフォーマーである。劇団EXILEという俳優業メインで活躍しているメンバーもいるのだが数はそこまで多くないし、そりゃできれば知名度の高いパフォーマーたちだって出したいものだ。
2つ目は、LDHタレントだけをキャスティングしたらLDHファンしか観に来ないということ。知らない人が聞けば「なんかEXILEがドラマやるのふーん別に興味ないな」で終わりである。そもそもこんな作品があるよという情報すら届かない可能性もある。LDHにとっては一大プロジェクト。当然この機にファン層を拡大したいだろう。
この2つを解決する簡単な方法が1つある。
LDH以外の外部からも役者を呼ぶことだ。演技派で、できればファンのたくさんいる人気者に出演してもらう。言わば客演である。
ここで先ほどのあらすじに出てきた5つのチームSWORDがどのようなキャスティングになったか見てみよう。それぞれのチームのPVもあるのでついでに載せておく。カッコいい楽曲に乗せてカッコいい男たちがカッコいいパフォーマンスをする映像を撮るノウハウが蓄積されている事務所だけあって完成度がえげつない。
S 山王連合会
ドラマのお話の中心となる喧嘩屋チーム。
リーダーは三代目J Soul Brothersのメンバー岩田剛典。通称"岩ちゃん"と聞けば知っている人も多いだろう。脇を固めるのは同じく三代目の山下健二郎、EXILE/FANTASTICSの佐藤大樹、劇団EXILEの鈴木伸之、町田啓太、八木将康、佐藤寛太だ。
三代目の中でも人気の高い岩田に山下、そして俳優メインで活躍する劇団EXILEたちで構成されたLDHチームである。
W White Rascals
男に傷つけられた女を絶対守るというスカウト集団。現実のスカウトはだいぶ違うよね……
リーダーはEXILE/EXILE THE SECONDの黒木啓司。ナンバー2役に数々の映画やドラマ、そして舞台で活躍する遠藤雄弥、ヴィジュアル組に『女々しくて』のゴールデンボンバーを配している。
LDHの中でもベテランの黒木を演技で支える遠藤、話題性と賑やかしのゴールデンボンバーという構成だ。
O 鬼邪高校
"漆黒の凶悪高校"の異名を持つ不良高校。学生役なのに役者がみんな大人で違和感……という学園ドラマにありがちな現象を、留年して当たり前なので大体みんな20歳超えているんだというパワー設定で解決している。
リーダーはこの記事の主人公山田裕貴。彼の右腕左腕に鈴木貴之、 一ノ瀬ワタルがキャスティングされている。
R RUDEBOYS
治外法権のスラム街「無名街」を守護する街の浮浪児達で組織された義勇軍・自警団の様な集団だ。日本にスラム街?とか言ってはいけない。
リーダーに窪田正孝。メンバーにはGENERATIONS from EXILE TRIBEの 佐野玲於、LDH所属のパルクールパフォーマーZEN。
このチームのパルクールはもう何が起こっているのか分からないのでぜひ一度見てほしい。
ちなみにRUDEBOYSはファンの間では”ハイローの玄関マット”と呼ばれている。窪田正孝目当てで観始めるファンが多いし、そうでなくとも大抵このチームに”落ちて”からハマりだす。
D 達磨一家
ヤ〇ザ一家から生まれた武闘派チーム。SWORD地区一帯の祭の利権を牛耳る組織でもあるためリーダーの口癖は「SWORDの祭りは達磨通せや」。
リーダーは林遣都、その下に遠藤要、阿部亮平とベテラン俳優が揃っている。林遣都は映画でボンネットに乗せられたり、ターザンさせられたりと毎回中々な目に遭っている。
SWORDのSとWのリーダーはLDHの自社タレント起用だ。LDHの中でも特に有名なパフォーマーたちだった。
Rのリーダー窪田正孝は朝ドラ『花子とアン』(2014)で一気に知名度を上げ、その後『Nのために』(2014)や『デスノート』(2015)など話題作に数々出演し、オリコンの2015年ブレイク俳優にも選ばれている。ちょうどハイローのドラマが開始した2015年秋、一番ノリに乗っていた俳優と言っても過言ではない。
Dのリーダー林遣都は2007年『バッテリー』で俳優デビューしているが、この作品で日本アカデミー賞新人俳優賞や、キネマ旬報ベスト・テンの日本映画新人男優賞などいくつもの新人賞受賞し評価されている。その後も映画やドラマの出演が尽きることはなく、2015年までの時点でも主演だけで映画7本、ドラマ6本を経験している人気俳優であった。最近では『おっさんずラブ』(2018)の大ヒットで話題だ。『おっさんずラブ -リターンズ-』(2024)の牧も楽しみである。
”見劣りする”鬼邪高校
さて、そしてOの鬼邪高校である。
誤解を恐れずに言えば、他のチームと比べて”見劣りする”
LDHメンバーがいない。みんな外部からの役者たちだが当時そこまでの知名度がない。
私は窪田正孝目当てで観始めた人間だったが、当時鬼邪高校のメンバーに関しては失礼ながら「誰だ……?」の気持ちだった。
実際、ご本人がインタビューで次のように語っている。
鬼邪高校自体の扱いも決して良いものではなかった。
ドラマはメインとなる山王連合会が他チームに絡んでいく形で進んでいくのだが、なんやかんやで鬼邪高校は山王連合会と最初にぶつかり、なんやかんやで山田演じる村山は岩田演じるコブラに敗北する。
鬼邪高校の愛と熱
では、山田裕貴と鬼邪高校は咬ませ犬にされた後そのまま儚く消えていったのだろうか。
ハイローは総集編等は除くと全部でドラマシリーズが5本、映画が7本公開されているのだが、それぞれ次のようになっている。
全員出演メインドラマ:2本
全員出演メイン映画:3本
山王連合会ドラマ:1本
山王連合会映画:1本
雨宮兄弟(めちゃ強兄弟)映画:1本
鬼邪高校ドラマ:2本
鬼邪高校映画:2本
全員出演のメインシリーズ以外のスピンオフ作品では、なんと鬼邪高校作品が一番多い。しかも鬼邪高校映画はあの高橋ヒロシ先生の『WORST』シリーズとのコラボ作品だ。
初めはそこまで期待されていなかったであろうチームが、影が薄くなっても全くおかしくないチームが、いつの間にかたくさんのファンに愛され、メインシリーズの枠を超えて物語を紡いでいる。初期メンバーはもちろんのこと、ドラマや映画では新しいキャラクターたちがどんどん生み出されている。
それは山田をはじめとした鬼邪高校メンバーの”雑草魂”が生み出したものだと、山田、鈴木、一ノ瀬が対談で語っている。
若手俳優が大規模作品に呼ばれてさあ頑張るぞと思ったら咬ませ犬役。そんな時どうするだろうか。やる気をなくして適当にその場をやり過ごす人もいるだろう。なにくそ爪痕残してやるぞと勢いのままに噛みついていく人もいるだろう。そんな時の鬼邪高校にあるのはあまりにも愛に溢れた雑草魂の熱だった。
このキャラクターは一体どんなことを思っているのだろう。ならばどんな風に動き、どんな風に喋り、どんな風に笑うだろうか。制作側が最初につけたキャラクター設定を深堀りし、スタッフたちと力を合わせ、時には大胆に広げていく。
ただわーわー騒がしく殴り合うだけではない。カッコいいアクションを見せるだけでもない。役と作品に対する愛と情熱が鬼邪高校からは痛いほどに伝わってくる。
特に印象的なのが大乱闘の中での村山の台詞と動き。
え、大乱闘の中で騎馬戦ってどういうこと?ぜひ一度観てほしい。村山らしさ、鬼邪高らしさ、魅力の全てがそこにある。初めは他の俳優目当てでも全然良い。いつの間にか鬼邪高のこと大好きになってるから。
HiGH&LOWのススメ
ハイローのこと、鬼邪高校のことがちょっとでも気になった方、ぜひシリーズを観てほしい。特に元気のない時に。色んなものを全部吹っ飛ばして最高にしてくれます。LoveとDreamとHappinessだから。huluではほぼ全作配信、Netflixでは主に映画を配信、その他AmazonPrimeVideo等でレンタルもあります。
気になったからじっくり観てみたいぜという方へ
全ての始まり、ドラマシリーズ1作目『HiGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜』からどうぞ。
いきなり連ドラ観る気力はちょっとないなという方へ
映画からでも全然楽しめます。これまでのあらすじを最初に教えてくれます。『HiGH&LOW THE MOVIE』通称”ザム”をどうぞ。
鬼邪高校が気になったぜ、『WORST』大好きだぜという方へ
『WORST』シリーズとのコラボ映画『HiGH&LOW THE WORST』通称”ザワ”をどうぞ。
たった2人で最強チームと互角に渡り合う兄弟って結局何だよという方へ
映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』通称”レッレ”をどうぞ。銃を持った大量の敵に素手で立ち向かえちゃう兄弟が観れます。
ヅカオタさんがこの記事を読んでいた場合
実はハイローが宝塚でも上演されていました。宙組真風涼帆さん、潤花さんが主演の『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』最高でした。
ハイロー全履修済の仲間へ
舞台『HiGH&LOW THE 戦国』楽しみですね!
以上、RUDEBOYSスピンオフをまだ諦めきれない無名街の女よりお送りしました。
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