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お正月準備の欠落

根っこが面倒くさがりなので、
やる事が多いのは、本当は好きではありません。

しかし、なにかやってないと不安になる育ちでもあります。

昭和の山奥の正月前は、おっとりした空気もありながら、
実はけっこうやる事が多かったです。

まず、薪が火力の囲炉裏や釜使ってるから、
薪をたくさん準備して、
煤もしっかり落とす。

餅をたくさんつかないといけないから、
臼と杵を準備して、
小豆を選って餡を炊いて、
いろんな種類(白、よもぎ、他数種、✕あん入りなし)の餅をついて成形し、
餅箱に入れて積み上げる。

掃除は箒と雑巾でしっかりと。
鎌を研いだりとか、農具の手入れなんかもする。

庭の木も剪定してさっぱりさせ、
他のゴミと一緒に燃やしに行く。
火の始末はもちろんしっかり。

三宝と、鏡餅と、謎の板と、神棚を
作るために、榊や羊歯やダイダイなんかを山に取りに行って、
しきたりに沿って用意し、セットする。
鏡餅は大小家中に置くのでたくさん。

おせち料理もそれなりに作って、
お酒もたくさん用意する(どぶろくも作ってた)
器も正月用を出して拭く。

お正月に着る着物とかの準備もしておく。

年賀状もギリギリながら、筆で書く。


祖父母が現役だった時代はそんな年末で、
子供だったから分からない仕事も、
もっといろいろあったのかもしれません。

とにかく、お肉と魚以外は、
全部お正月に向けて、全部自前で作って準備やプランがあって、

「次の仕事はこれ」となったら、
どこどこにある、なにを取ってきて、
に全然過不足がなく、

そんなに人数がいるわけでもないのに、誰もイライラせずに、
日が暮れるまで粛々と
仕事をしていっていました。

そんな中で子供なりに役目を果たし、
覚え、年々できることを増やす、
一連が私はスキでした。


今の、なにか足りなければ店に行き、
掃除も便利グッズでさっと済ませ、
年賀状も書かなくて楽な年末は、

1年をしっかり締めくくり、
来年をきちんと迎えるにしては、

すっぽりとなにかが欠落しているように感じる瞬間が、
私にはあります。


子供へも、ちゃんとした大人を見せられていないような、引け目を感じています。

でも現実問題、仕事もギリギリまであるし、誘惑は多いしで、
今のなんの情緒もない、こなすだけの年末の用事は、
削れるだけ削りたいっすね。






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