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てんとう虫にはアブラムシが必要

いつものことですが、寓話要素は全くありません。
そのまんまの体験です。

てんとう虫がアブラムシを食べる姿は、
とてもとても静かで、
清潔感に溢れ、
色彩が鮮やかで、
いつまでも見ていられます。


ちなみに虫が、好きかと言われると違います。

数年前のある日、
子供と遊んでいた原っぱで
たまたま てんとう虫のてんちゃんと出会い、
全然逃げないので連れて帰ったのですが、

餌の事を考えていませんでした。


図鑑など調べても、
餌として出てくるのはアブラムシ オンリー。

やっと砂糖水の記載を見つけましたが、
なぜか見向きもしない。

仕方がないので毎日、
主に仕事の昼休みに、ジップロックを持ってアブラムシ探しに走っていました。

しかしそこそこの町中のこと。
植え込みや公園は、皆さんまじめに手入れされていて、
アブラムシなんてそういない。

こうなると、なおさらここでリリースするのも憚られ、
どこに行ってもアブラムシを探す生活に、甘んじる事にしました。

半透明の緑色をしたアブラムシを、
特に慌てるでもなく、
毎日大量に食べる姿を見ていると、

偏食の子どもを育てる苦労が洗われるようで、
離れがたかったし、苦労のしがいがありました。

アブラムシも種類があり、
好む種と好まない種があったり、
なんていう、なぞの知識を私に残して、

8か月ほど飼ったある日、
てんちゃんは、
突然ひっくり返って動かなくなりました。


なにかのスプレーがよくなかったのか、毒になる植物についていたアブラムシを食べさせてしまったか。

とにかく私の知識不足だったのだと思います。

子供と「覚えておこうね」と言いながら、
土に埋めて、弔いました。



先日、久々にてんとう虫を見つけた時に、
うちの子どもがあんまり真剣に
「連れて帰ったらダメ、ここで暮らさせてあげるんだよ」と、
諭してくれるので、
覚えていたんだなあ、と分かりました。

この話は、
きっとてんとう虫を見るたびに、
少し変な気持ちになる、
うちの子どもの為の記事だと思います。

子どもとしては、
お母さんがなんだか頑張っていたのに、
てんとう虫も私も可愛そうだなあ、
という感じかな、と想像します。

冷静に考えると、8か月も生きれば、虫としては上等だろうですが。

結局、私は私のエゴで動いており、

それは、触れて、知って、好きになり、
共に暮らす努力をする、
という一連を業として望む人だったんだよなあ、
仕方ないなぁ、

と、うっすらとでも理解を得られれば、
ありがたいです。

そして、てんとう虫一匹にさえ、
あれだけの真剣さを持つ私が

真摯に望んだものが、
あなた達との暮らしだと、

愛おしんだ最たるものが、
あなたたちの一言一言や、
ささいな仕草や、
作ってくれた小さな作品たちだと、

そんなふうに、いつか落とし込んでもらえたら、

なんて贅沢な願いは、

こうして書いてしまったことで、
新たに生まれたエゴだろうなあ。




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