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ほんとはね。。

昨日一日、我が家の庭にねこの姿がなかった。

常々、あのこは うち以外のどこにいるのだろうと不思議だった。
食べているだろうか。雨に濡れてはいないか。大丈夫か。
内心、何度 出来るものなら その後をつけていきたいと思ったことか。
 だが、昨日は、用事も多く ばたばたしており、このPCにも向かっていて
それすら考える余裕がなかった。
 そして、夕方 夫が 「どうですか?心配ですか?それとも・・・」と
聞いてきたときも、頭になかった。
どうだろう、と思いながらも、やはりやることの多さに気をとられ 
忘れてた。。
 そして、思えば 丸一日半も また 顔を見せなかったなと 薄っすら
思いながら寝てしまった。
何度もあったことだ、そうも思った。
だが、なぜか すごく穏やかでいられたのが不思議だった。
 ところがだ。
今朝、窓の外をふと見ると さわやかな夏の朝、一匹の元気なねこが、
走って行くではないか。
向こうの畦道を ひた走る彼女を偶然見た。
それはそれは 元気に大きく見えた。
あれは、本当に うちに来るあの甘えん坊のねこなのか?
見まごうほどに大きく見えた。
まるで、本能的に帰らなきゃと我が家を目指してひた走る、元気な
ねこの姿がそこにあった。走り来た方角は わたしが 思いもしなかった
方角からで 向かっていたのは なんと彼女の元飼われていた家の方。
まるで 朝帰りした子が わき目もふらず帰っていく姿のようで 言い表せない思いを抱いた。
くっきりと、けれど一瞬にして消えていく儚い夢のような一シーンを見ているようだった。
 地域猫かもしれぬとは思っていたし、どこかで いのちを繋ぐことができればそれでいいとは思ってはいたが、今更のこの想いは 何だろう。
まるで、鶴の恩返しのような、見てはいけないものを見たような気が
したのだ。
起きてきた夫に話すと、「いいやないの。あそこが実家なんやろ。そうして食べることに不自由してないんだから いいやん。元実家なんやろ?我が家に、飼われますと言ってきたわけじゃなし」という。
 切ない朝だった。
まだ、夜のベールを脱いだばかりの まだ小鳥も来ない静けさの中の
朝の一場面だった。




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