夕星
夕星に夏日のきみを思い出す
はぐれて入る「暑い」のライン
愛しくて名を呼んでみる冬の夕
野花そよいで日が落ちていく
面影を浮かべて空を見上げれば
雲がちぎれて手を振っている
欠けているそんな月が好きだなと
云っているよなきみの面影
星の宿りきみが住む国会いたいな
また冬が来る天のおてがみ
夏の暑い日中に待ち合わせた午後。お互い場所の思い違いでやたら時間だけが流れた。じりじりと照り付ける日の下「どこ?」「暑い」とラインが入る。小さな背中と汗をかきのどの乾いた小さなこの顔が思い浮かぶ。そんな夏の日の思い出がことある毎に思い返される時がある、冬がきたなあと思う。
仕事終わりの道すがら 野の花が咲く原に会う。コスモスやノギクが風にそよぎわびしく揺れている。夕闇が迫り、切なくなる時がある。
青空がビルの谷間に見えてくる。白い雲がぽっかり浮かび、そっと愛しいものの名を呼べば、風に吹かれてちぎれていった。なにか言うようになんて
気のせいかな。
完全なひとより少し欠けてるほうが愛しい。そう言ってた先輩の声が時折り思い出される。冬の夜空の月はさやかで。。