ウクライナグランドバレエのSWAN LAKE ON WATER
ウクライナグランドバレエのSwan ・Lakeを鑑賞しました。
白鳥の湖は過去幾度も観ているものの、CGプロジェクションと水を使った演出(湖、雨、噴水、嵐など)、バレエダンサーの舞とフルオーケストラの融合はとても美しく心が満たされました。
二幕、四幕と水上の演出。
一幕、三幕でも、宮殿の中の噴水や、屋敷の外の雨の演出で、水が使われます。
舞台装置を使わないからこそ、自由に空間をカスタマイズ出来、水の演出が際立つような気がしました。
二幕では、オデットの水上での足捌きに目が釘付け、水音はオーケストラの演奏の一部のようにも聞こえてきて、湖面の静けさを感じます。
水面下でのバレエでは、技術的な見せ場は少なくても、一つ一つの振りが大きく丁寧で美しく、情感たっぷりのオデット姫です。
四幕の場面は、森の中の湖上ではなく、ロットバルトの棲家の山頂の岩場のような場所。
嵐が起こり、大量の水の演出がありました。
ラストは、ロットバルトは滅びた後に
王子は他の白鳥たちの顔を1人1人覗き込むようにオデット姫を探しています。
王子は力尽きたオデット姫を見つけ、その手で抱き上げるも、オデットの生命の火は消えていました。
嵐は過ぎ、2人の頭上にはオレンジ色の光が照らされ幕が降りました。
わたしにはそれが、山頂の岩場ではなく、戦火にあるハリコフのようにも見えたし、光にたどり着いた魂にも感じました。
ハリコフの劇場を失ったダンサー達は、
散り散りになっていましたが、
ウクライナ・グランド・バレエは、世界に善と美をもたらし、社会にインスピレーションを与え、新しいスピリチュアルレベルへと引き上げる」を使命に掲げて、ウクライナ国外で再結成された経緯があるそうです。
どんな困難があっても、出来ることをやり、前に進むしかない。と、オデット役のプリマは語っています。
美しい芸術は、世界の光だとわたしも思います。人々の中に眠っている善なる部分を蘇らすと思っています。
外に出ると、劇場の外は台風の影響か、大量の雨が降り風も強く吹いていました。
まるで四幕のステージの続きかと思うぐらいの空模様でした。ステージの余韻に浸りつつ
1日も早く世界に平和が訪れることを心から祈りながら、劇場を後にしました。