熊がでた!?
家から5、6キロの所に動物園がある。
たまたま、その動物園の前を通った時に、定休日でもないのに休園となっていた。
熊の親子が現れたので、臨時休園すると広報していた。
ん?そもそも動物園の中には熊がいるじゃない。オリから逃げたわけ?
ではなかった。
動物園に飼われていた熊ではなく、野生の熊の親子が夜に現れたところ、防犯カメラに映し出されていたという。
近くには山があるけど、母熊が子熊を連れて、動物園に遠足にでも来たってこと?
「まあ!、こんな小さな家に住んでいるの。大丈夫?ストレスがたまらない?」
「夜になると家の中に入るけど、昼間は結構広い場所でのんきに過ごしているよ」
「ならいいけど、自由が無いんじゃない?お子さんは?」
「息子と娘が一匹づついるよ。生まれた時からここにいるので、いつも目の前で人間達を見学できるここが居場所だと思っている。きゃーこらうるさい時もあるけど、まあ騒ぐのはあっちも子供だしね。高い塀があるので、こっちには入ってこれないから大丈夫だよ」
「そう、安全なんでよかったね、食事はちゃんと食べている?」
「一日に決まって一回、リンゴやパンに、見たこと無かったなんとか栄養剤とかいう物も食べている」
「へえ、じゃあ自分達で食べ物を獲りにいかなくていいんだ。こっちは、朝からどんぐりや柿を探しているけど、今年は暑かったせいか少ないんだよ。だから、このあたりまでいつの間にか降りてきたわけ」
「そうか、ものすごく暑かったから大変だったよね。でも、いつも食べ物を探しに色々な所に行けて羨ましいなあ。そっちの子供さんはちょっと疲れたのかな。明るくならない内に気をつけて帰ってね」
「そうそう、近頃、人間が多くってねえ。いらつくこともあるよ。長い鉄砲なんて持っている人間は、私たちをいつも殺そうとしているし」
「ここは危ない人間はいないけど、そっちは恐ろしい人間がいるんだな」
「私は大人だからいいけど、この子はまだ子供だしね。寝たふりした人間を起こすなと言ってもわからないよね。ところで、ここに入るにはどうしたらいいの?」
「さあ、わからないけど、今度聞いておくよ」
「ただでご飯を食べれて、襲われる人間もいなくて、めちゃ競争率高いんでしょうね」