時代錯誤は、どっちや
終戦記念日も近い、昼の休憩時間。
外で右翼の街宣車が大きな音量で軍歌を流している。
「♪朝だ、夜明けだ~
潮のいぶき~・・・
月月火水、木金金!」
釣られて歌うと若い社員が
「誰の歌なんですか?」
「誰?誰って、、、USAよ」
そうか、この子らは、軍歌なんか知らないんだ⁉️
といって、こちらも本当の戦時中の意味なんか知りもしない。
ただ、学生時代、威勢のいいアップテンポの曲を、皆で大声出してコンパで歌っていただけだった。
ただ、一度だけ、
「戦争にも行ったことがない者が、軍歌なんか歌うな」
と言われたことがあるが、
「何言ってるんや、このおっさん」
と何も知らないノー天気な学生が、気にもかけることはなかった。
今になって、戦争の悲惨さ、怖さを、そんな威勢のいい歌で誤魔化していたことを思うと、ただ、自分自身若かったなあと思う。
当時、お盆近くになると、テレビでは、懐メロ特集として昭和初期の歌が流れていた。
暑い季節からして、夏メロだと思っていたが、懐かしのメロディとは思ってもみなかった。
だって、懐かしいも、くそもそんな歌は聞いたこともなければ、初めて聞くような歌ばっかりだった。
岸壁の母、あこがれのハワイ航路、だれや、このおばちゃんや、おじさんって?
今は、そんな年寄りいてへんがな。
天地真理、南沙織、小柳ルミ子やないかい。麻丘めぐみもかわいいなあてな時代だった。
と考えれば、今の若いもんからすれば、懐メロってこの歌手らのこと言うんかいな?
え〜山口百恵も、桜田淳子も、キャンディーズも懐メロなんかい。
って、若い子に聞いたら、
「そんな歌知りません」
とまあ自慢げにいうではないか。
まあええ、仕事しよう。
今度の出張は、その若い社員と二人で行くことになった。
「飛行機でいくか、それとも汽車にするか」
と聞くと、
「今どき、汽車ってあるんですか」
とのたまう。
「あほんだら、新幹線のことや」
「僕、汽車に乗ったことないんで、汽車でもいいですよ」
「なぐったろうか!」
さらに、出張先では暑かったので、喫茶店に入る。
「スタバじゃないんですね」
「は?何にする。俺は冷コーでええわ」
「れいこ?誰です?れいこって」
ときた。
「ホットコーヒーを冷たいコーヒーというんか!」
出てきたアイスコーヒーの氷をグルグル回しながら、
『おまえがよくできた後輩ちゅうのは、ようわかるで。
しかし、二度とおまえと出張いかへんわ!』
いや、逆に、時代錯誤の甚だしい年寄の介助はしたくないからと、むこうから断られるか。
チューリップ 心の旅
♪あ~だから、今夜だけ
君を抱いていたい
あ~明日の今頃は、
僕は汽車の中
旅だつ僕の心を知っていたのか
遠く離れてしまえば
愛は終わるといった
ええ唄やったなあ、、
懐メロやけど、